テスラ株急落の理由
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- 2023年1月10日
- トピックス
こんにちは。Weiss Ratings Japanです。
先日、こんなニュースが話題になりました。
PayPal、テスラ、SpaceXなど革新的企業を率い、最近はTwitter社のCEOとしても話題のイーロン・マスク氏
一時期、3400億ドル(約44兆円)で世界No.1だった資産額は現在、1370億ドル(約17兆円)にまで減少しました。歴史上、2000億ドルもの資産を失ったのはマスク氏だけだそうです。
その最大の原因が彼の資産の大半を占めるテスラ株の下落。
テスラの株価は高値から一時75%も下落。資産を減らしたのはマスク氏だけでなくテスラ株の投資家全員の資産を傷付けました。
テスラはSBI証券の保有人数ランキングでアップルに次ぐ2位。日本で2番目に人気の米国株といえます。
このメールを読んでいる方の中にはテスラ株を保有している、していた、またこれから投資しようと考えている人も少なくないでしょう。
今回はWeiss Ratingsのアナリスト、ジョン・マークマン氏によるテスラ株の中期見通しをお届けします。
テスラ(TSLA)の最新の生産・納品データが発表され、予想を大きく下回る結果となった。今回は、この数字が投資家にとってどのような意味を持つのかを解説したい。
テスラは2022年中に137万台の電気自動車を生産したが、社内目標である年間平均伸び率(50%)には大きく届かなかった。また、当四半期の全世界における販売台数も予想を下回った。
しかし、弱気な見方をしている人はあまり喜ばないほうがよい。大きなラリーが近いうちに起こりそうだ。
イーロン・マスクCEOが4月にツイッター(11月8日にニューヨーク証券取引所から上場廃止)の買収に関心があると発表して以来、テスラ株は不安定な動きを見せている。問題は、彼が他の会社の経営に気を取られていることではないが、その見方も下落圧力の要因となっている。
EVメーカーの株主にとって本当に問題なのは、イーロン・マスク氏のイノベーターとしての名声が損なわれることだ。
テスラは常に彼が中心であり続けてきた。2010年の株式公開以来、投資家はマスク氏が才能ある最高経営責任者としてのプレミアムさを確証してきたため、赤字や新株発行、危険な新工場への投資も甘んじて受け入れてきた。
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テスラは10年でトヨタ自動車(TM)を抜き、世界で最も価値のある自動車会社となった。そして、テキサス州オースティンを拠点とする彼のロケット会社スペースXは、再利用可能なロケットで航空宇宙分野の経済性を変えた。マスク氏は「ミダスタッチ(なんでも成功させる能力)」のような存在だった。
しかし、その優秀なペルソナを打ち砕いたのがTwitterだ。
最初の440億ドルの入札に始まり、買収撤回の失敗、その後の買収など、Twitterの買収は滑稽なほど無能な雰囲気に包まれている。公平を期して言うと、Twitterは、マスク氏が買収に興味を示す随分と前から、ひどいビジネスだった。
決して利益はなく、ネット上での無礼な言い争いや、自動化されたスパムボットの行き着く先になることがほとんどだった。それに比べると、マスク氏がこれまでに行った運用の変更は、Twitterをわずかにひどくしただけだ。
しかし、その過程で彼に対する見方は、「向こう見ずな人物」に変わってしまった。世界がより早く持続可能な燃料源に移行するのを支援したり、航空宇宙ビジネスを一新したりと、彼の功績は偏った批評家たちによって日常的に貶められ続けてきた。さらに悪いことに、彼のぬきん出た野望は、ご都合主義の嘘だと一刀両断されてしまった。
テスラの株主はその代償を払っている。
株価は、マスク氏がツイッターの入札を開始した4月14日の328.33ドルから、2022年の終値で123.18ドルにまで下落している。2022年の生産と第4四半期の納入実績は、弱気な見方をしている人間が株を叩く材料をさらに増やすことになる。
彼らは、EVの需要が枯渇しているというシナリオを進めることができるだろう。オースティンやドイツのブランデンブルクにある高価な大規模工場は、やがてキャッシュを吸い取る負債になると主張し、このうちいくつかは定着したものとなるだろう。
しかし、彼らには問題もある。
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テスラの目先の需要問題のほとんどは、税制優遇措置が背景にある。だが世界最大の新車市場である中国では、2023年中にこれらの魅力的な消え、米国でも段階的に終了する。
2023年1月1日から、一部の新型テスラの米国での購入者には、7500ドルの税額控除が開始される。新年まで注文を先延ばしにするバイヤーが多いのは、もっともな話だ。また、今後数週間で注文が殺到し、需要に対する暗雲が立ちこめるのも理にかなっている。
税制優遇措置の影響にも関わらず、テスラは第4四半期に43万9701台の生産に対し、40万5278台を納車した。前年同期比ではそれぞれ24.7%、30%増となり、いずれも過去最高を更新している。しかし、FactSetによれば、アナリストによる納入台数の予想中央値は42万7000台だった。
123.18ドルのテスラ株価は現在、株価収益率(PER)23.2倍、株価売上高倍率(PSR)5.2倍となっている。電気自動車の長期的な見通しと、競合他社に対するテスラの優位性を考慮すれば、これらの財務指標は魅力的なエントリーポイントだろう。
とはいえ、ここでの新規取引は、気の弱い人には向いていない。160ドル台に抵抗レベルがあり、最近の安値である108ドルがサポートとなっている。私は、今後数ヶ月の間に、このレベルまで回復する可能性があると見ている。いつものように、取引に入る前にご自身でデューデリジェンスを行うことを忘れないで頂きたい。
今日はここまでだ。
健闘を祈る。
ジョン・D・マークマン
イーロン・マスク傘下のTwitter社には日本でもさまざまな議論がありますが、マークマン氏の分析にあるように米国でも賛否があるようです。
マークマン氏はテスラへの投資について「チャンスはあるもののリスクが大きい」と考えています。「気の弱い人には向いていない」というのはまさにその通りでしょう。
我々はハイリスクな投資は安全な土台の上で行うべきだと考えています。
安全な資産の土台があれば、ハイリスクな投資も資産全体に与える悪影響が小さくなるからです。
もしあなたが勇気を持ってテスラに投資するなら、この2銘柄のような「安全な土台」にも合わせて投資してください。
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