テスラ株、長期上昇の理由
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- 2023年1月24日
- トピックス
テスラ株、長期上昇の理由
こんにちは。Weiss Ratings Japanです。
テスラの株価は2021年後半の高値から70%近くも下落。一時、時価総額1兆ドルを超え、全米で5番目の価値を持っていたテスラの暴落は、多くの投資家にとって厳しいものでしょう。
実際、テスラCEOのイーロン・マスク氏は「失った資産の大きさ」という記録で、先月ギネス世界記録に認定されました。
一方、今年に入ってからのテスラ株は急激な上昇を見せています。
こちらは2022年から現在までのテスラ株(青塗り)とS&P500(オレンジ線)の比較。昨年、米国株市場全体が大きく下落しましたが、見比べるとテスラ株の下落が非常に大きいことがわかります。では2023年に入ってからはどうでしょうか?上のチャートでもテスラ株が少し上昇していることがわかりますが、拡大してみると…
S&P500(オレンジ)に対して、大幅に株価上昇していることがわかります。テスラは今年、1ヶ月足らずの間に30%以上も急上昇しました。
この上昇は本格的な株価回復の兆しなのでしょうか?それとも一時的な上昇に過ぎず、テスラ株を保有している投資家は今のうちに手放しておくべきでしょうか?
今回はWeiss Ratingsのアナリスト、ジョン・マークマン氏によるテスラ株の長期見通しをお届けします。
残念ながら、世界の自動車産業に訪れている冬を生き残ることができる企業は少ないだろう。
先日、テスラ(TSLA)の幹部は、同社の電気自動車の劇的な値下げを発表した。株価はすぐさま急落し、その後上昇して、ほぼ横ばいとなった。一方、その他の自動車関連銘柄は下落が続いている。
それは、テスラが自動車市場のより大きなシェアを狙っているからであり、古い伝統的な自動車企業の投資家は注意すべきだろう。
テスラに対して弱気な見方をしている人間は、値下げは需要問題によるものだと主張している。確かにその見方には一理あるかもしれない。テキサス州オースティンに本社を置く同社は、12月に中国・上海にある最新の工場で、1月にかけて複数シフトを一時停止すると発表した。
この施設では、40秒に1台の割合でテスラの新車を生産している。 納車時間の短縮は、アジアや欧州の需要が軟化していることを意味するものだ。
数週間後、テスラは第4四半期の車両納入台数が40万5千台となったと報告した。この数値は前年度比で40%増加したものの、社内予想である前年度比50%の伸びには至らなかった。
Zacks Researchのレポートによると、2022年の販売台数はゼネラル・モーターズ(GM)を除くすべての従来の自動車企業において減少したことに留意してほしい。
そして、そこが分かれ道だ。
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従来の自動車メーカーは、現在、販売台数を減らすことで収益性を維持している。これは逆説的に見えるかもしれないが、在庫の希少性が、より良いマージンと高い収益性を生み出している。
販売店に在庫がなければ、顧客は値下げ交渉ができない。多くの場合、定価以上の支払いを余儀なくされ、米国の新車購入の平均コストは過去最高の4万9,500ドルにまで上昇している。
価格高騰が起こっているのは、続く旧型半導体の不足で従来の自動車メーカーが供給制約を受けているためだ。また、低価格の競合他社に脅かされているわけでもない。
それが、テスラによる値下げで一変した。
テスラの積極的な価格引き下げは、連邦税額控除と相まり、エントリーレベルのモデル3セダンとそのSUVであるモデルYが、それぞれわずか3万6,500ドルと4万5,500ドルで販売されることを意味する。
これらの車は最先端の性能を持ち、超安全で、EPAテストでは131マイル/ガロンに相当し、新規注文分は6週間以内に納車される予定だ。
テスラは、従来の自動車メーカーが特に弱っているところを狙っている。従来の自動車メーカーは、電気自動車を販売する際の損失を補うために、高価な内燃機関自動車を販売し続ける必要がある。テスラのEV事業は収益性が高いだけでなく、その生産コストは業界最低水準だ。
テスラの値下げは、従来の自動車メーカーを犠牲にして、同社の潜在的な市場シェアを劇的に拡大するのに役立つ。
6万5000ドルのEVは、自動車やトラックの市場全体のおよそ5%である高級市場セグメントに向けて販売されているが、3万5000ドルのテスラは、年間6700万台という世界の自動車市場の25%が購入できる価格帯だ。
テスラのイーロン・マスクCEOは8月、同社の生産台数は2030年までに、2022年比で13倍となる2000万台まで増加すると発言した。この高い目標を達成することは、新型テスラの価格帯の引き下げを意味し、競合他社にとっては大きな痛手となる。
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値下げが発表されると、テスラの株価はたちまち急落した。投資家は収益性を心配しているからだ。しかし、最終的な終値では、わずか1%の下落にとどまった。 続く週で、株価は7.5%も急騰している。
伝統的な自動車メーカーの株価は、ほとんどが異なる状況にはある。ゼネラルモーターズは4.8%減、フォード(F)は5.3%減、ステランティス(STLA)は3.6%減、トヨタ(TM)は1.5%減と、それぞれ下落した。このグループは、連日弱含みで推移した。
伝統的な自動車メーカーは、いずれ競争力のあるEVでテスラのシェアを奪おうとするという見方が、これまでのコンセンサスだった。これには、テスラは単なる自動車会社のひとつであるという前提がある。この見方は、テスラが低価格の自動車によって市場全体を奪う可能性によって崩れる。
テスラ車は最も先進的で安全だ。また、同社は最も効率的なメーカーでもある。これらは大きな競争力であり、従来の自動車メーカー株の投資家は心配すべきだ。彼らの望むような結果になる可能性は低い。
健闘を祈る。
ジョン・D・マークマン
マークマン氏の分析にあるように、テスラを「自動車会社のひとつ」と捉えると本質を見誤るかもしれません。例えば昨年、サプライチェーン混乱などにより自動車よう半導体が不足し、多くの自動車メーカーで納期遅れが生じていたことを覚えているかもしれません。
最近はあまりニュースにならなくなりましたが、自動車業界の半導体不足は今も課題になり続けています。
例えば昨年後半には、トヨタがこれまで2つ渡していたカギを、当面1つにすると発表しています。
カギ1つ用意するのに苦労するほど、自動車メーカーは半導体の調達に追われているのです。
一方、テスラはどうでしょうか?
テスラは2019年から車載半導体の一部を自社設計し、半導体製造企業と協力体制を構築してきました。また、通常は1つの半導体に合わせて作る様々なプログラムを19種類も用意し、半導体の調達先が変わってもすぐに対応できるようにしていました。
こうした「自動車会社」とは思えないような取り組みによって、他の自動車会社が抱える半導体問題を回避していると言われています。
今月25日にはテスラの決算発表があります。事前予想では売上が前年同期比+39%、利益が+33%と引き続き堅調な数字が予想されています。テスラ株に投資している、投資を検討している方は、ぜひ今回の内容を参考に、次回決算を分析してみてください。
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