銀行に対する支払能力へ懸念から暗号資産は下落
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- 2023年3月8日
- トピックス
ビットコイン(BTC、格付け「A-」)と広範な暗号資産(仮想通貨)市場は、カリフォルニアに拠点を置く暗号資産の特化したシルバーゲート銀行の破産懸念によって下落した。
シルバーゲート銀行は、年次報告書(Form 10-K、日本の有価証券報告書にあたる)の提出を延期することを発表した。先週、証券取引委員会への情報開示で、銀行規制当局からの調査によって銀行の健全性が脅かされる可能性があることを明らかにしたばかりであることを考えると、この決定は良い兆候ではない。
この展開に端を発した懸念によって、コインベース(COIN)、パクソス、サークルインターネットフィナンシャル、ギャラクシーデジタルといったシルバーゲートの大型顧客が即座に同行との取引を停止した。
シルバーゲートと関連金融機関は、暗号資産が主流になる上で重要だ。
それは、暗号資産はTradFi(伝統的金融)とは別物であるものの、暗号資産システムから米ドルを出し入れするために、規制された銀行パートナーに依存していることに変わりないからだ。
以前、投資家が不換紙幣と暗号資産を交換するための中央集権的な取引所を「オンランプ」と呼んでいたが、それを陰で支えているのが、シルバーゲートのような銀行だ。
現在、規制の不確実性と連邦準備制度理事会(FRB)による利上げ継続の可能性があるため、投資家は、他のエクスポージャーを持つ金融機関の支払能力に影響を与える可能性のある潜在的な伝染効果を懸念している。
少なくとも、他の暗号資産にフレンドリーな銀行は、近いうちに暗号資産のエクスポージャーを減らすことを検討している可能性がある。コインベースのシルバーゲートの後釜であるシグネチャー銀行は、弱気市場のピークであった昨年、すでにそうしている。
追加的な規制によって、それは継続せざるを得なくなるかもしれない。
暗号資産に強い銀行がなければ、暗号資産の主流導入はより難しくなるだろう。
今回のニュースによって、これ以上深刻な事態が発生しないことを祈りつつ、市場がどのように反応したかを見ていこう。
ビットコインは現在、さらに下落して2万2,400ドルとなっている。これにより、21日移動平均線を下回り、短期的な勢いが止まった。
この資産は、2万1,500ドルまたは2万700ドルでサポートを探している。
しかし、ここ2週間の下落を考慮しても、ビットコインは今年に入ってから35%上昇している。市場のリーダーとして、ビットコインが足場を固めることが重要だ。弱さはアルトコインの振れ幅を大きくする可能性がある。
いずれにせよ、暗号資産(仮想通貨)市場は健全な調整時期を迎えていたため、伝染効果が悪化しない限り、短期的な下落は大きな懸念材料にはならない。だからこそ、シルバーゲートの状況を注視していきたい。
イーサリアム(ETH、格付け「B」)も下落し、1,600ドルをわずかに下回る水準で推移している。時価総額で2番目に大きいこの暗号資産は、最近ビットコインのパフォーマンスをほぼ反映しているが、先週、プラスで取引を終えた日には、より大きな良い反発を見せた。
イーサリアムも21日移動平均線を下回り、短期的な勢いを失ったが、現在の取引水準でサポートを得ることができるだろう。そうでない場合、次の潜在的なサポート水準は1,500ドルだ。
ETHは1月下旬以降、ほとんど方向感なく取引されているが、1月上旬の上昇が年初来32%の上昇に大きく貢献した。
注目すべきは、イーサリアムがテストネット「Sepolia」でシャペラのアップグレードを成功させ、まもなくメインネットでアンステークする道を開いた点だ。
また、今年後半には、シャーディング(ネットワークを分割して混雑を緩和する方法)による拡張性の向上が実現する可能性があり、投資家は期待を寄せている。
今後の推測
規制の精査やシルバーゲート事件の影響により、暗号資産の短期的なリスクが増幅される可能性があるが、機関投資家と個人の両方が採用する中、その見通しは極めて明るいと言える。
インフレ率が予想以上に高く、労働市場が依然として好調の兆しを見せていることから、FRBは利上げを継続する青信号を手に入れたと言える。
FRBによる政策の方向転換が遅れた場合、暗号資産の次の強気相場の開始タイミングも遅れるかもしれないが、この業界の進歩は次の大きな持続的上昇のための土台を作ることになる。
健闘を祈る。
サム
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