ソーラーパネルの次。ソーラーウィンドウが投資家にもたらすもの
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- 2022年9月29日
- トピックス
エネルギーの未来は「透明」だ。その典型的な例として、透明なソーラーパネルの開発に取り組んでいる企業がある。 ムーンショット型の投資機会だ。
モルガン・スタンレーのアナリスト達は先週、驚くべき発見を記載したレポートを発表した。「経済の不確実性が高いとき、イノベーションは加速する。」というものだ。彼らは、透明なソーラーパネルは、ゲームチェンジャーとなる可能性を秘めた20の新興技術のうちの1つであると考えている。
投資家はソーラーパネルメーカーのジンコソーラー・ホールディング (JKS)に注目するとよいだろう。
「ムーンショット」とは、投資の流れを根底から覆すような壮大なアイデアだ。透明なソーラーパネルは、建築資材を破壊し、将来の商業ビルのあり方を変えるかもしれない。
モルガン・スタンレー(MS)の研究者たちが挙げたムーンショットのほとんどは、新しい技術ではない。意図的な発明サイクルの産物だ。論文発表が研究開発につながり、ベンチャーキャピタルからの資金調達、そして株式公開し、成功すれば、新しい公開企業が生まれる。古い企業は破壊され、最終的には奪取される。
1998年、スタンフォード大学の学生だったラリー・ペイジ氏とセルゲイ・ブリン氏が、アルゴリズムとネットワーク化されたコンピュータをいじり始めた際に生まれたグーグルが、主にこのような物語を描いている。株式を公開したのは6年後の2004年だ。
モルガンのアナリストは、フォーチュン500のうち3分の1の企業が不況時に生まれたことを発見した。そして、2000年以降、全株主の富の40%という驚異的な数字が、たった1%の上場企業によって生み出されている。グーグルのように、それらの企業はムーンショットを開発した。
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特に透明なソーラーパネルは、20年の歳月をかけて作られた技術でありながら、非常にシンプルであるため、とても興味深い。透明・半透明の太陽電池は、従来の屋根に設置される重い設備とは異なり、発電できる窓のようなものだ。
この技術は、ガラスパネルに有機塩を埋め込むことで完全な透明性を実現している。塩が赤外線と紫外線を集め、可視光を透過させる。赤外線と紫外線を組み合わせると、繊細な輝きを放つ新しい光が生まれる。このエネルギーをガラスの外周に配置された細い太陽電池で取り込み、電気をつくる。
この技術は、2014年にミシガン州立大学の研究者によって初めて使用された。現在のところ、従来のソーラーパネルの半分以下の効率だが、どのような窓にも設置することができる。潜在的な展開規模は膨大だ。
オフィスビルなどの商業施設に使用されるガラスは、米国だけでも50〜70億平方メートルある。 その設置ベースのほんの一部でも毎年置き換えることができれば、大きな新しいビジネスチャンスが生まれる。
半透明ソーラーパネルは、ガラス板の間に電池の薄層を挟み込んだものだ。半導体材料は薄いためほとんど透明だが、従来のソーラーパネルを完全に見直している研究者もいる。
第3世代ソーラーパネルは、シリコンの代わりに、薄く、軽く、フレキシブルな素材であるペロブスカイトを使用している。このソーラーパネルは、ガラスの層に直接貼り付けて発電することができる。
ポーランドで上場しているサウル・テクノロジーズは、オフィスビルのファサード(建物を正面から見たときの外観)に使用されるガラス製ペロブスカイト型太陽光発電を展開した。また、エネルギーハーベスト(環境発電)のソーラーブラインドも製造している。
ジンコソーラー・ホールディングは、中国、米国、マレーシア、ベトナムに生産施設を持つ垂直統合型の太陽光発電企業だ。上海に拠点を置く同社は、電力会社、商業施設、住宅向けの太陽光発電製品をグローバルに販売している。そして、ビジネスは好調だ。
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同社が8月に発表した第2四半期の売上高は、前年同期比27.6%増の28億ドルだった。 売上総利益は、前年同期比24.5%増の4億1,400万ドルに急増しした。成長を牽引しているのは中国と欧州で、出荷台数はそれぞれ136%、137%の伸びを示した。
リスクもある。
中国政府は「ダイナミックゼロコロナ」政策を掲げており、そのためにいくつかの生産が制約されている。シャンデ・リCEOによると、操業停止と省全体の電力配給により、いくつかの工場が断続的に閉鎖されたという。
中国企業への投資には、一般的なリスクもある。ジンコソーラーは、現在も未監査の決算を発表している。証券取引委員会(SEC)は、中国企業が一般に公正妥当と認められた会計原則を採用する期限を2024年とすることを提案した。
これらの問題が解決されると仮定すると、株価が55.63ドルのジンコソーラーは超安価であり、PERが9.5倍、PSRは0.4倍で取引されているに過ぎない。
半透明ソーラーパネルを使ったムーンショットへの投資機会、そして従来のソーラーに内在する成長は、暗くエネルギー難の世界における一筋の光のようなものだ。
いつものように、ご自身でデューデリジェンスを行うことを忘れないでいただきたい。
健闘を祈る。
ジョン・D・マークマン
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