アドバンスド・マイクロ・デバイシズの確かな利益
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- 2022年5月9日
- トピックス
大手半導体メーカーの株価が急落しているにもかかわらず、半導体の売り上げは急上昇している。
5月3日(米国時間)の引け後、アドバンスド・マイクロ・デバイシズ(AMD)の幹部は、1‐3月期の画期的な収益を報告し、次の四半期に向けた強力なガイダンスを示した。しかし、AMDの株価は緩やかな上昇にとどまった。
何か腑に落ちないが、ハイテク投資に関しては、これが時代の流れなのだろう。
半導体株は今年ずっと圧力にさらされている。ヴァンエック半導体ETF(SMH)は、大手半導体企業の大半の株式を保有する上場投資信託だが、今年に入ってから23.5%もの大幅な下落が続いている。
金利上昇に伴う借入コストの増加により、将来の成長価値が縮小することが理由である。
これは、証拠に基づいた価値というより、自己実現的な株式市場理論だ。大手ハイテク企業の多くは、強固なバランスシートを有しているため、資本へのアクセスは抜群である。マイクロソフト(MSFT)は、レバレッジが高くなりがちな産業・資源関連企業よりも借入コスト上昇の影響を受けにくい。
ハイテク系の株価を押し下げる要因はもう一つは、レガシー効果だ。
この業界は絶えず進化しており、新たな勝者も現れているが、センチメントは通常最も古く、最も有名な企業に牽引されている。
その典型的な例が、この10年間ひどい事業を展開してきたインテル(INTC)で、同社の経営陣が次々と暗い見通しを発表し、投資家がこのセクターに抱く感情を色濃く表している。
わずか1週間前、パトリック・ゲルシンガーCEOは、PC需要の低迷とマクロ経済の課題を、またもや低調な四半期の原因として指摘した。米国証券取引委員会(SEC)に提出された書類よれば、売上高は7%減少し、183億5000万ドルとなった。
アナリストたちは直ちにセクター全体の格下げを開始した。
モルガン・スタンレー(MS)の研究者たちは、いわゆる「プルフォワード」は、2000年問題のような巨大な逆風であると推測している。
COVID-19と在宅勤務により、設備投資の加速を余儀なくされたというのが大きなポイントで、その売上を2022年にプルフォワードすることは、将来のPCのための資金(およびニーズ)が減ることを意味する。
それは、2010年のクールな理論であった。
半導体の需要はPCをはるかに超えており、今や自動車、ロボット、インフラに不可欠なものであり、クラウドはコンピューティングの未来だ。先進的な企業の経営陣は、長年にわたってそのような売上を開拓してきた。
3日に行われたアドバンスド・マイクロ・デバイシズの決算報告で、その様子が描かれている。同社の事業は好調で成長しており、すべての事業セグメントで2桁の増益を達成した。カリフォルニア州サンタクララに本社を置く同社は、パソコンでインテルからシェアを奪う一方、クラウドで急成長している。
具体的には、PC向けチップの売上が年率換算で33%増加し、前四半期比でも8%増加したとCNBCで報告されている。クラウドサーバーおよびゲーム機市場向け半導体の売上は、前年同期比88%増の25億ドル となった。
なお、当四半期の売上高は全体で59億ドルとなり、前年同期比71%増加した。また、4‐6月期のアナリスト予想を65億ドルとし、前回予想の63億8000万ドルから大幅に引き上げた。
それにもかかわらず、AMDの株価が時間外取引でわずか4%の上昇にとどまったのは、株価は必ずしもその企業のファンダメンタルズを表しているわけではないことを意味する。
企業の良し悪しにかかわらず、より大きな物語に巻き込まれることはよくあることだ。金利上昇に伴いハイテク株の人気がない現在は、企業の良し悪しを区別するのにいい機会だが、アドバンスド・マイクロ・デバイシズは明らかに良い会社の一つである。
同社の91.13ドルの株式は、予想PERのわずか19.6倍、売上高の9.4倍で取引されている。売上総利益率は48.2%、自己資本利益率は44.9%と驚異的な数字となっている。
12月には165ドルまで株価が上昇し、この価格は再び達成可能だが、現在の水準で急いで買うことはないだろう。
いつものように、自分自身でデューデリジェンスを行うことを忘れないで頂きたい。
健闘を祈る
ジョン・D・マークマン
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