FRBの利上げを受け、暗号資産は下落
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- 2022年12月19日
- トピックス
先週開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)では、米連邦準備制度理事会(FRB)が4回連続で75bpsの利上げ後、利上げ幅を縮小し、50bpsの利上げを決定した。
利上げの減速は織り込み済みだったものの、中立的な反応ではなく、ビットコイン(BTC、格付け「A-」)と暗号資産(仮想通貨)市場全体が下落した。
これはおそらく、FRBが政策金利の最終到達点(ピーク金利)を5.1%と考えている内容が好ましくないニュースであったことに起因していると思われる。パウエルFRB議長は、インフレを強い労働市場のせいにし、事態をさらに悪化させた。
投資家は労働市場の弱体化がより深刻な景気後退を引き起こすことを危惧している。
現在、ビットコインは1万7000ドルを割り込み、約2%下落している。
明るい面では、他のアルトコインよりも持ちこたえている。BTCは過去1カ月間横ばいであり、11月に発表された良好なインフレ率による上昇もあって、週足ではわずか2%の下落となっている。
ビットコインは現在、21日移動平均線のやや下に位置しているが、このレベルは、確立された弱気相場の安値1万5500ドルよりもはるかに重要性が低い。
弱気相場の新安値まで下落した場合は、市場心理が悪化し、暗号資産の冬がさらに延長するだろう。ビットコインが1万5500ドルから2万5000ドルのレンジ内で推移し続ける場合、その方向性はニュートラルだ。
以下の図がコインベース(COIN)上でのドル建てのBTCの推移率である。
BTCよりも強いと思われる期間が長く続いたイーサリアム(ETH、格付け「B」)は、今回の下落で市場リーダーよりもやや苦戦している。
ETHは現在、1200ドルを僅かに上回る水準で推移しており、約5%の下落となっている。それでも、ビットコインが11%下落しているのに対し、イーサリアムは過去6カ月で20%上昇している。
時価総額2位の暗号資産は、過去3日間苦戦を強いられたものの、まだ10月のFTXニュース前の水準に比較的近い。
ETHの弾力的な取引は、その方向性に従うアルトコインを支えることになりそうだ。
イーサリアムは21日移動平均の1260ドルを下回ったが、弱気相場の新安値を更新する危険性があるレベルまで、十分な余裕がある。
注目すべき重要なレベルは880ドルだ。しかし、厳しい市場の調整がない限り、そのレベルに至る可能性は低い。
以下の図がコインベース(COIN)上でのドル建てのETHの推移率である。
今後の推測
先週発表された11月の消費者物価指数が7.1%となったことで、投資家はFRBによる利上げペースの減速を期待していたが、この良好な数値によってFRBが動くことはほとんどなかった。
利下げ予想のない2023年は、暗号資産価格にとってより厳しいマクロ経済環境になると予想されるが、何が起こるかは分からない。FRBは、インフレが予想より早く落ち着いたり、労働市場が弱まれば、利下げを優先させる可能性がある。
FTXの影響や規制強化が求められている状況の中、暗号資産に対するセンチメントは悪化している。
現在、世界最大の仮想通貨取引所であるバイナンスが債務超過に陥る可能性があるとの噂が流れ、市場に新たな暗雲が立ち込めている。
今はまだ純粋に憶測に過ぎないが、もしバイナンスが破綻すれば、被害が連鎖的に拡大する可能性が高い。
だが、暗号資産のファンダメンタルズは改善され続けている。市場にネガティブな話題がくすぶる間、暗号資産の冬が続く可能性があるが、その未来は、より多くの採用によってますます明るい見通しとなるだろう。
健闘を祈る。
サム
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