今、不動産投資家は密かに微笑んでいる
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- 2024年9月10日
- トピックス
過去数年間の度重なる利上げにより、住宅ローンの金利が上昇し、不動産市場にとって厳しい状況が続いていた。
だがこの状況から一転し、最近ようやく明るい兆しが見え始めている。
9月17日から18日にかけて予定されているFRB(米連邦準備制度理事会)の会議で金利引き下げに市場の期待が高まっているからだ。
現時点で、市場は9月の0.25%の利下げをほぼ確実視しており、0.5%の引き下げの可能性も3分の1程度あると見られている。そして多くのアナリストは、この金利引き下げが住宅購入者にとって追い風になると予想している。
しかし、私は住宅購入者への影響は限定的で、むしろ不動産投資家にとってより大きなチャンスになると捉えている。
米大統領選挙が残り2ヶ月を切っている現状で、ドナルド・トランプとカマラ・ハリスは住宅危機に対処するために、全く異なるプランを推し進めているのだ。これらは住宅所有者や投資家、あるいはその両方を助けることになる政策なのだろうか?
これは少し複雑な問題だと言えるだろう…(だが安心して欲しい。私がきちんと解説しようと思う)
米国住宅問題のジレンマ
まず、「アメリカは住宅危機に陥っているか」という簡単な問いから始めよう。
率直に言えば、この答えは「イエス」である。
アメリカの住宅市場が抱える問題は、2008年の世界金融危機に端を発している。それ以前は年間200万戸だった新築住宅着工数が、危機後には大幅に落ち込んだのである。そして現在も年間平均数は110万戸程度にとどまっており、人口増加に対応するために必要とされる160万戸を大きく下回っている。
結果としてアメリカの住宅不足は150万戸から550万戸に達すると推定されている。この深刻な住宅不足に対し、トランプ前大統領とハリス副大統領は異なるアプローチを提案しているのだ。
トランプ計画
トランプ前大統領の住宅危機対策は、具体的な詳細がまだ明らかにされていな部分が多いものの、大まかな方針は示されている。その中心となるのは、住宅購入予定者への頭金補助の可能性を探ることだ。また、連邦所有地の一部を住宅開発用に開放し、住宅コストを押し上げている規制を緩和することも提案している。
トランプ陣営の基本的な考え方は、連邦政府の介入を最小限に抑え、規制緩和と州の自主性を重視することである。しかし、これらの政策をどのように実施するかについての具体的な計画はまだ示されておらず、詳細な部分は今後の発表を待つ必要があるだろう…
ハリス計画
一方、ハリス副大統領の提案はより具体的で包括的なものとなっている。まず、企業による住宅価格高騰を抑制するため、多数の一戸建て住宅を購入してレンタル物件化する投資家への税制優遇を廃止し、そのような物件に対する家賃規制の導入を検討している。
また、住宅供給を大幅に増加させるため、今後4年間で300万戸の住宅建設を目指している。この目標を達成するため、新居住宅の建設業者への税制優遇措置や400億ドル(約6兆円)規模のイノベーション基金の設立を提案している。さらに、初めての住宅購入者に対して25,000ドル(約370万円)の補助金を支給する案も含まれているのだ。
しかし、ハリス副大統領の提案に対しては、一部の専門家から懸念の声も上がっている。
特に、住宅購入者への補助金支給が単に住宅価格の上昇を招くだけではないかという指摘がある。実際に、カンザスシティ連邦準備銀行のデータによると、2022年以降、新築住宅の価格上昇率は大型住宅の上昇率を上回っている。
これに対し、ハリス陣営は住宅供給の増加策と組み合わせることで、価格上昇を抑制できると主張している。
だが、結局のところこの政策の効果については専門家の間でも意見が分かれており、今後議論の焦点となっていくと考えられる。
金利の低下 ー 価格の上昇
住宅ローン金利が下がると毎月の支払い負担は減るが、その分物件価格そのものが上昇してしまう傾向にある。そのため金利の低下は一般的に住宅価格の上昇を伴うと考えられるため、金利引き下げが住宅購入者にとって即座の救済策とはならない可能性があるのだ。
したがって低金利は多くの住宅購入者が期待する万能薬にはならないだろう。一方で不動産投資家にとっては良いニュースとなる可能性がある。
それは住宅価格の上昇が不動産株やETFを押し上げるからである。
良い例を1つ挙げよう…
iShares US Real Estate ETF ( IYR )のワイス格付けは「C」、経費率は 0.39% だ。配当利回りも 2.7% で、S&P 500 の配当利回り 1.3% よりはるかに優れている。
6月以降、IYRは20日移動平均に沿って上昇していることがわかる。
私は何かを追いかけるのは好きではないが、20日線まで下落した時に購入することは考えている。
当社の目標株価は今後6ヶ月間で1株122ドルだ。(※私の目標設定値だ)
これは現在の株価から約22%の上昇にあたる。
IYRはPrologis (PLD)、American Tower (AMT)、Equinix (EQIX) といった主要な不動産株を含めたETFである。
金利引き下げを受けて、2025年にかけて不動産市場は活況を呈する可能性がある。ただし、住宅購入を考えている人は金利だけでなく、住宅価格の動向にも注意を払う必要があるだろう。
一方、不動産投資に関心のある人にとっては、今後数年間が良いチャンスになる可能性があるのだ。ぜひ、今回ご紹介した素晴らしい業界に参入する一つの手立てを見逃さないで欲しい。
健闘を祈って
ショーン・ブロドリック
いかがでしたでしょうか。
ブロドリック氏によれば、9月半ばに実施予定の低金利政策と大統領選の動きによって不動産業界にとって良いチャンスが訪れる可能性があり、
そのチャンスを掴む可能性があるファンドとしてiShares US Real Estate ETF ( IYR )を推奨してくれました。
ですがもしあなたが不動産業界を牽引する企業に投資してより積極的にリターンを狙っていきたいと考えているのであれば、月刊パワーエリート9月号の16ページをご覧ください。
ここでは物流不動産の世界的リーダーで、9月の利下げ期待から株価上昇を成し遂げたエリート企業をご紹介しています。
低金利政策と大統領選の動きによって今後活発化すると予測される不動産市場においてより積極的にリターンを狙っていきたい方はぜひ、ブロドリック氏が推奨したETFにも含まれるエリート銘柄への投資を検討してみてください
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