バッテリーで動く未来をめぐる戦い
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- 2022年1月17日
- トピックス
世界は電気自動車(EV)の未来に向けて急成長しているが、宇宙で最も一般的な元素であり、唯一の排出物である水を燃料とする代替動力システムがある。
この分野に特化した銘柄は、クリーンエネルギー関連銘柄を上回り、S&P500を大きくアウトパフォームしている。
EVは自動車用の最も一般的な代替燃料システムであり、ガソリン車やディーゼル車に取って代わる競争に勝利する可能性が高いが、水素燃料電池の方が優れたシステムであると主張することもできる。
だがEVには次のような欠点もある:
- 一般的な電気自動車は、内燃機関(ICE)を搭載した車に比べて、燃料の補給に時間がかかる。
- EVが寿命を迎えると、廃棄物の量は膨大になる。
- 電気自動車の充電インフラはまだ完全ではない。
- EVのバッテリーには、リチウムなどの鉱物が必要だが、その供給量はますます不足し、価格も高騰している。
水素燃料もまた、充電インフラの構築が必要となるが、その一方で:
- 水素燃料電池を搭載した車は、通常のICE車と同じように素早く燃料を補給することができる。
- 1キロの水素は、100キロのEV用バッテリーよりもはるかに多くのエネルギーを蓄える。
- 水素燃料は、水素と酸素によって作られる。燃料電池には、炭素、プラチナ、黒鉛が使用されている。
しかし、水素燃料には大きな欠点がある。ガソリンのように爆発性があり、燃料電池車では圧縮されている。一方で、トヨタ自動車(TM)は燃料電池自動車「MIRAI」の衝突試験を実施し、5つ星の評価を得た。
では、水素燃料はどのような仕組みになっているのだろうか?
水素燃料は水素と酸素の化学反応で発電される。酸素は、私たちの周りの空気から得られ、水素は圧縮されて、車内のタンクに貯蔵され、ドライバーは、ICE車と同じように水素ステーションで補給できる。
- EVのバッテリーとは異なり、燃料電池では排出物が発生するが、それは、水素と酸素が反応したときに必ず得られるもの、つまり水だ。
それでも、EVが大きくリードしているのは事実であり、水素燃料電池のEV(FCEV)は非常に少ない。トヨタ、ヒュンダイ(HYMTF)、そしてホンダ(HMC)がそれぞれ1機種ずつ生産している。
FCEVの今後の展開
私は、主に早期の投資、より大きなクリティカルマス(爆発的な普及に必要な市場普及率)、政治的支援によってEVがより大きな競争に勝つと信じているが、水素にはまだ成功への道がある。
水素燃料電池は、時間を大切にする産業に採用されている。つまり、充電中の車を放置できない産業だ。その結果、米国では約3万5,000台のフォークリフトが水素で動いている。
また、タクシーや配送トラックなど、24時間体制で使用されるものは、給油時間の短さからFCEVがEVよりも有利だ。自治体では、水素が市営バスに非常に有効であることがわかっている。
オハイオ州カントンでは、毎朝、10数台のバスが水素を補給して運行している。カリフォルニア州の2つの交通機関(オークランドとリバーサイド)でも、水素バスが運行されている。
- 航続距離が伸びることで、短期的には長距離トラックが大量に導入される可能性がある。
ゼネラルモーターズ(GM)、Navistar、輸送業者のJ.B.ハント・トランスポート・サービシズ(JBHT)は、3年以内に水素ステーションを建設し、水素トラックを米国の高速道路で使用する計画だ。
ボルボ(VLVLY)のトラック、ダイムラー・トラック AG(DMLRY)などのメーカーもパートナーシップを発表している。電動大型トラックの新メーカー、ハイゾン・モーターズ(HYZN)は、すでに工場からトラックを出荷している。
また、トヨタ、ケンワース、ロサンゼルス港は、貨物船から倉庫に荷物を運ぶための水素トラックの実験を行っている。
- そこで登場するのがインフラだ。既存の充填所に水素タンクを追加するのは、それほど難しいことではない。
しかし、水素の採取には課題がある。
年間7,500万トンの生産量のうち、ほとんどが天然ガスの水蒸気改質による炭素排出プロセスによるもので、中国では汚染度の高い石炭を使用している。
現在は、電気を使って水の中の水素と酸素を分離する「電気分解」の研究が進んでいる。
電解槽や燃料電池システムを製造しているカミンズの水素技術担当ディレクター、ジョー・カーネリ氏によると、風力や太陽光などの再生可能エネルギー(原子力を含む)が世界的に増加しているため、電気分解はよりクリーンで安価に行うことができるという。
クリーンな電気を使って水素を製造し、車両基地で貯蔵して機関車などに補給することも可能だ。そしてこれはすべてゼロエミッションだ。
- カミンズは、ディーゼル車の排ガス規制の強化と政府のゼロエミッション要求によって、2030年には米国で水素が広く使われるようになると予想している。
水素燃料は、2030年までに排出量を半減させるというバイデン政権の計画の一部だ。先日成立した1.2兆ドルのインフラ法案(Infrastructure Investment and Jobs Act)には、水素を含む5500億ドルの新規インフラ投資が含まれている。
- 80億ドル以上の資金は、より多くのクリーンなバスやフェリー、電気分解の開発、クリーンで低コストの水素製造ハブ、燃料供給のインフラなどに充てられる。
リチウムの需要がEVのメガトレンドを圧迫する可能性
そして、他にもある。
電気自動車のメガトレンドを加速させる要因として、電気自動車のバッテリーには約10kgのリチウムが使われていることが挙げられる。
EVがICEに取って代わることで、リチウムの需要と価格は急上昇することが予想され、 そうすれば、多くのエンドユーザーにとって水素燃料電池がより魅力的なものになるだろう。
水素経済をテーマにしたETFも数多くある。しかし、私の見解では、取引可能なほどのボリュームがあるのは、ディファイアンス・ネクストジェンH2 ETF(HDRO)だ。
このファンドの約30%は米国の株式に投資されているが、世界中に資金を分散している。25銘柄を保有しており、3大投資先はプラグ・パワー(PLUG)、フューエルセル・エナジー(FCEL)とブルーム・エナジー(BE)となっている。
経費率は0.3%で、10月上旬以降、HDROはS&P500、EVファンドのiシェアーズ・セルフドライビングEV・アンド・テックETF(IDRV)と広範なクリーンエネルギー市場を対象として追跡するiシェアーズ・グローバル・クリーン・エナジーETF(ICLN)を上回っている。
ただ、水素関連銘柄は非常にボラティリティが高いことを覚えておこう。投資を行う前には下調べをすることが大切だ。
あなたの成功を願って。
ブロドリック
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