どれが正しい投資判断ですか?
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- 2022年2月23日
- トピックス
こんにちは。Weiss Ratings Japanの安居です。
さて、下落で始まった2022年ですが不安定な状況が続きますね… ^^;
・ロシアのウクライナ侵攻
・40年ぶりのインフレ
・急ピッチで変わる金融政策
などなど不安要素はたくさんありますが、世の中では日々、良いことと悪いことの両方がたくさんあります。
金融メディアは株価が下がったら悪いニュースを、上がったら良いニュースを取り上げる傾向にあるのであんまり気にしすぎないことも大切です ^^)
前回のメルマガでは安心して眠れるアイスクリーム銘柄ということで、
高級アイスクリームの「ハーゲンダッツ」を販売する超安定・高配当銘柄を紹介したのですが、
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若い頃ならミドルリスク・ハイリスクもありだと思いますが、私の様に老後資金を運用するなら、この様な株式だと思っています。為になる記事でした。
塩漬け嫌 様
いつも拝読させていただいております。普段接しない知識が入り大変為になっております。ありがとうございます。
og60 様
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といった感想をいただきました。いつも読んでいただいている皆さま、本当にありがとうございます ^^)
前回のメルマガはこちらからご覧ください
↓
塩漬け嫌 様がおっしゃるとおり投資判断は年齢によっても変わりますよね。
派手なハイリスク・ハイリターンに惑わされずご自身の状況を把握し冷静に判断されている姿は僕たちにとっても大きな学びになります。
ということで今回は正しい投資判断とは何か?について僕なりの考え方をご紹介したいと思います。
あくまでも僕の意見なので、Weiss Ratingsの考え方ではありません。
投資判断に迷った時や異なる投資判断に出会った時の一つの判断材料になればと思います ^^)
ちょっと難しいテーマかもしれないので投資を始めて間もない方は「そういう考え方もあるんだー」くらいに思っていただければ十分です ^^;
さて質問です。
アップル株、今買うべきでしょうか?
理由も合わせて考えてみてください。
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自分なりの答えを出していただいたと思いますが、この質問に対する唯一絶対の正解は存在しません。
どんな理由で、どう判断したとしても、ある意味では間違っていて、ある意味では正しいということが起こるのが投資です。
日々情報収集する中で異なる意見に出会うことがあると思います。
例えば、今年の米国株見通しについてJPモルガンは強気にみているようですがバンク・オブ・アメリカは弱気のようです。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-01-10/R5IBZRT1UM0Z01
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-02-08/R6YCO7T0G1KX01
他にも、参考にしている米国株YoutuberのAさんはこの銘柄が買いだと言っているのにBさんは売りだと言っているとか。
そんな時、どう考えるべきでしょうか?
僕は次の3つによって異なる投資判断がどれも正解になりうると考えています。
アップル株を例に考えてみるのでご自身の投資判断と併せて考えてみてください。
1.投資期間
やはり一番大きいのは投資期間いつ投資でリターンを得るつもりなのか?の違いです。
・数日程度の短期投資
・数ヶ月程度の中期投資
・数年〜数十年単位の長期投資
それぞれの場合でアップル株を評価してみましょう。
まず、数日程度の短期投資の場合、数日で業績が変わるわけがないので業績はどうでもいいです。
短期投資にも色々な手法がありますが基本的には自分が信じるテクニカル指標がどうなっているかが最重要でしょう。
ということで、アップル株についていくつかのテクニカル指標を見てみましょう。
こちらはアップルの株価チャートに・ボリンジャーバンド・MACD・RSIを追加したもの。
指標の意味は気にしないでください ^^;短期投資では代表的な指標ですが長期投資をされている方なら覚える必要がありません。
この3つのテクニカル指標から
・現在の株価はボリンジャーバンドの真ん中なので方向性はよくわからない
・MACDは下にクロス、RSIは50を下回っているので下降トレンドがはじまるかもしれない
といったことが読み取れます。
つまり、アップルは短期投資で考えた時あまり魅力がない言えそうです。
数ヶ月程度の中期投資ならどうでしょうか?
この場合、重視すべきは金融政策のような株式市場全体を動かすニュースや直近のアップルに関わるニュースでしょう。
金融政策なら
・今年利上げは何回あるのか?
・利上げの株式市場への影響はどの程度か?
が今は注目の的です。
また、アップルは今年の秋に多くの製品をリリースされるとウワサされています。
https://japanese.engadget.com/apple-preparing-widest-array-new-products-fall-034037249.html
もしこれが大きく話題になるようであれば株価にもポジティブな影響があるかもしれません。
こうしたニュースをどう捉えるかですが、僕は利上げの影響を重く受け止めていますし今年秋の新製品もまだ情報が曖昧です。
なので、数年ならともかく、数ヶ月程度ならアップルは魅力的ではないかもしれません。
最後に、数十年単位の長期投資ならどうでしょう?この場合はアップルの過去の業績や事業そのものの成長性などが重要です。
こちらはアップルの過去の業績です。数十年単位で投資を考えるなら過去10年ほどはみたいところですが一旦5年分のデータを取ってきました。
売上、利益ともに安定して右肩上がり。キャッシュフローもしっかり稼いでいることがわかります。
需要はどうでしょうか
https://news.yahoo.co.jp/articles/c5591b18b6dcd0e0acc7403d4f46890048634506
こちらはアップルの地域別売上の推移です。アメリカ、ヨーロッパでしっかり伸ばしていますが、中国やアジア圏でも売上を伸ばしていますね。
すでにかなりのシェアを握るアメリカでこれだけ大きく伸ばしているのもすごいですが、アジア圏の需要も大切です。
今後人口が増えるアジア圏でシェアを握れば10年、20年先も成長し続けてくれるでしょう。
もちろん数十年単位の投資を判断するにはもっと深く調査する必要がありますが、このデータを見る限り数年以上の長期で見るとアップルは非常に魅力的な銘柄と言えます。
まとめると、アップル株は短期投資、中期投資なら投資しない長期投資なら投資すると考えられそうです。
でもこれ、そもそも見ている期間と要因が違うのでどれが正解とかいう話ではないですよね。
全部あってるかもしれないし、全部間違っているかもしれません。
投資期間によって投資判断は全く違うということは抑えておきましょう。
ちなみに、Weiss Ratingsの格付けは基本的には数ヶ月から数年程度の期間を想定していると考えてください。
2.投資目的
次は投資目的です。
投資でお金を増やす方法には大きく
・キャピタルゲイン(売却益)
・インカムゲイン(配当益)
の2つがあります。
個人的な話ですが、僕は配当が大好きな投資家です ^^)
SBI証券をメインで使っていますが、「外国株式等配当金等のご案内(兼)支払通知書」電子交付のお知らせというタイトルのメールが届くたびに嬉しくなります。
株価上昇が目的だと”売り時”を考えないといけないですが、これが大変だし、難しいんですよね。
「配当だけでいいや」と考えて売り時や株価を気にしない方が気が楽なんです ^^;
そしてアップルの今の配当利回りは0.5%ほどあまり魅力的な利回りではありませんね。
でも数十年単位の長期投資で考えたらどうでしょう?アップルはここ数年、毎年10%ほど増配を続けています。
もしこれが30年後も続いているとしたら…30年の福利10%で配当金額は17倍以上になります。
すると今の株価に対する配当利回りは8%を超えるので長期投資を前提に持ち続けるなら高配当銘柄としても魅力的かもしれませんね。
もちろんこれは僕の個人的な意見です。
ほぼ確実にもらえる数%のインカムゲインと将来どうなるかわからないけど2倍、3倍になる可能性があるキャピタルゲイン
どちらを重視するかは好みですね ^^)
3.リスク許容度
最後の要素はリスク許容度です。
リスク許容度とは言葉通り「どの程度の損失に耐えられるか?」です。
若く、仕事で稼いで余剰資金を投資しているなら株価が半分になっても耐えられるでしょう。
でも貴重な老後資金を投資しているなら耐えられない場合が多いと思います。
アップルは長期投資なら超優良銘柄ですが株価の変動もそれなりにあります。
今年1月には15%も下がる場面がありましたし、2020年3月のコロナショックでは30%以上下落しています。今後もこうした下落がないとは限りません。
自身の経済状況や性格からリスク許容度を把握しこうした下落に耐えられるか?は冷静に判断する必要があります。
とはいえ、アップルは時価総額世界1位の銘柄。
アップルが下がれば株式市場全体が下がるしアップルが上がれば株式市場全体が上がると言っていいほど相場への影響力があります。
株式投資をされている方のほとんどはアップルのリスクは許容範囲内だと思います ^^)
ということで今回は正しい投資判断とは何か?というテーマで投資期間、投資目的、リスク許容度3つの要素から投資判断が変わるという話をしました。
アップルという一つの銘柄について話しても、短期・中期・投資といった投資機関の違いインカムゲインかキャピタルゲインか投資目的による違い年齢や経済状況、性格などリスク許容度の違いによって、投資判断は異なります。
このメルマガをご覧のあなたは多くの米国株情報を受け取っていられるでしょうし人によって言っていることが違って混乱することがあるかもしれません。
そんな時は、今回紹介した3つの要素を参考に自分ならどう判断するか?を考えてみてください ^^)
それだけで投資が成功しても、失敗しても納得感が全然違いますし、次の投資判断に活かせるはずです。
引き続き厳しい相場が続きそうですが厳しい相場は数年後に資産を増やす大きなチャンス。
自分の大切なお金を使うので真剣に、でもゆとりを持って投資していきましょう ^^)
P.S.Weiss Ratingsは1万銘柄以上ある全ての米国株を日々評価しています。
格付け情報のほか、アメリカ人アナリストの記事もたくさんあるので、ぜひご覧ください
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