暗号資産はボラティリティの高い状況下で底堅く推移
- 668 Views
- 2022年10月3日
- トピックス
先週は今のところ、暗号資産にとって底堅い一週間だった。
ほとんどの資産は米ドル高に適応できているが、弱気市場の急激な売りが暗号資産への投機意欲をそぐ一方で、株式や債券の下落が続けば、さらなる圧力に直面する可能性がある。
イングランド銀行が新たな無期限の量的緩和策を発表し、金融引き締め政策を転換させたのは良いニュースだ。これは、その急落する債券を救うために設計されており、うまくいけば苦境にある債券市場をサポートできるだろう。
この決定はイギリスポンドにとってインフレを誘発するものであるが、苦境にある債券市場は同じ問題を引き起こす。問題を先送りしても解決しない。
しかし、このような混沌とした状況下でも、暗号資産(仮想通貨)は安定している。
ビットコイン(BTC、格付け「A-」)と広範な暗号資産(仮想通貨)市場は、確立された暗号通貨が反発を拡大するような動きを見せ、わずかに上昇している。この堅調な動きは、9月上旬の9日間にわたる不安定な下げに続くものだ。
ビットコインは先週約2%上昇し、2万ドルという重要な心理的抵抗ラインを試している。注目すべきは、BTCが過去3カ月で3%上昇し、再びプラスに戻っている点だ。
この資産は弱気相場の底を確立する動きを見せているが、そのためには1万7500ドル以上、または最近のチャネルの底を維持する必要がある。
ビットコインは、直近の1万7500ドルから2万5000ドルのレンジで取引を継続する可能性が高い。金曜にBTCは21日移動平均の1万9800ドルを超えた。他の中央銀行が金融政策の方向転換を行う意思を示せば、この勢いは続くだろう。そして、どちらかがブレイクアウトすれば、暗号資産の冬に希望の光が射すかもしれない。
しかし、今のところ、多くの要因は、FRBのインフレ対応をめぐる見通しに左右される。
もしFRBがBOEのように軸足を移すことを示唆すれば、リスク資産は急上昇する可能性がある。
一方、現在のマクロ経済情勢がもう一段の下げ足を引き起こし、残りの投機的なトレーダーを排除する可能性もある。
以下の図がコインベース(COIN)上でのドル建てのBTCの推移率である。
時価総額で2番目に大きいイーサリアム(ETH、格付け「A」)は約1%ポイント上昇し、この記事を書いている時点で1350ドルを超えている。この資産は、歴史的なThe Mergeとプルーフ・オブ・ステークコンセンサスへの移行に伴う売りから、ほとんど調整している。
今回のアップグレードにより、環境に優しいブロックチェーン技術に対する強い追い風を受け、次の持続的な上昇局面で大きな機関投資家の資金流入が期待される。
しかし、9月のBTCとの比較では、BTCの1%の下落に対し、ETHは11%と、市場のリーダーに遅れをとっている。しかし、過去3カ月間のパフォーマンスは大幅に向上しており、28%の上昇を記録している。
イーサリアムは現在、6月中旬の安値900ドル以下から50%以上上昇した状態にある。
1万7000ETHを超えるマイナーの売却が、先月のイーサリアムのBTCに対するパフォーマンス低下の一因となったようだ。The Mergeが「噂で買って事実で売れ」イベントとなったため、ETHは多くのマイナーがポジションを売却し、価格を圧迫する事態に陥った。
当初の売り圧力が収まったとはいえ、マイナーの動きはまだまだ未知数だ。
一方、イーサリアムは21日移動平均線である約1430ドルを下回って取引されているが、正しい方向に推移している。イーサリアムの勢いが続くようであれば、それに続くアルトコインにも良い兆しが見えてくる。
以下の図がコインベース(COIN)上でのドル建てのETHの推移率である。
今後の推測
株式や債券のパフォーマンスが低迷する中、暗号資産(仮想通貨)は弾力的に取引されている。これは今のところポジティブな兆候だが、このトレンドが続くかどうかには多くの要因次第だ。
長期投資家はしっかりと維持しているが、株式市場が再び低迷した場合、暗号資産(仮想通貨)市場は再び弱含みの局面に直面する可能性がある。暗号資産が下落に転じた場合、市場が弱気サイクルの終盤に向かうため、短時間で終わる可能性が高い。
マクロ経済的なハードルは短期的には暗号資産に対するセンチメントを悪化させる可能性があるが、公正な金融政策がより必要性を増してきている。持続不可能な政府支出と中央銀行の増刷によって、不換紙幣に対する信頼が損なわれている。このような施策は、個人と組織の両方に、実行可能な代替案を模索するよう促し続けるだろう。
暗号資産の導入は常に進んでおり、現在のマクロ経済の騒乱により、市場が暗号資産の冬を脱するにつれて、機関投資家の参加は増加するはずだ。
健闘を祈る。
サム
※ 広く一般の投資家に情報としてお届けする事を目的とした記事であり、Weiss Ratings Japanが運営する投資サービスの推奨銘柄ではありません。予めご了承下さい。