気をつけよう:ブラックフライデーの多額の出費は不安定な経済の始まりかもしれない
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- 2023年12月25日
- トピックス
あなたは11月下旬にあったブラックフライデーで買い物をしましたか?
日用品が安くなったり、クリスマスや年末に備えて割引された商品をプレゼントとして買ったり、この割引価格の期間に買い物をした人も多いでしょう。
ブラックフライデーの本場、アメリカではたったの5日間で世界12ヵ国で四輪シェア1位の自動車メーカー、スズキの年間売上を超えてしまうほどの金額が消費されました。
しかし、この多額の消費の裏には、ある問題が隠されていたのです…
ブラックフライデーは、経済にいい影響を与えると分析する学者もいますが、Weiss Ratingsのアナリスト、ギャビン・マゴール氏は消費の裏に眠る問題を指摘、そして、その問題から利益を得る企業を取り上げて紹介しています。
それでは、マゴール氏の記事をご覧ください。
たった5日間で380億ドルが消費された。それはアメリカの祝日、11月23日木曜日の感謝祭からサイバーマンデー(感謝祭の次の月曜日から始まる大規模なオンラインショッピング上でのセール)の5日間だ。(日本でも「ブラックフライデー」の大型セールイベントがあった)
野球で例えるならば、エコノミストやアナリストはこの莫大な消費を経済にとってのホームランだと言うが、私にとってはむしろアウトとなる3ストライクの前兆だ。
率直に言って、現在の消費者の不安定な状態をFRBのせいだと私は思っている。FRBのパウエル議長たちは利上げをやりすぎた。日用品の価格が高騰し、貯蓄や新型コロナウイルス関連の補助金を使い果たすには時間がかかったが、それは今日、大々的に起こっている。
その結果、消費習慣や購買行動が変化している。
今年、最も人気のある決済手段は、クレジットカードやAffirm(AFRM)、Klarna、Afterpayのような後払い決済サービス(BNPL)だ。アドビ・アナリティクスは10月時点で、今年のホリデーシーズンには後払い決済サービスの利用が17%増加すると予測していた。11月27日には、買い物客が後払いサービスを利用して決済した額が73億ドルに達した。
その上、後払い決済を利用した方が消費額が増える可能性が高い。データ分析会社PYMNTSインテリジェンスによると、ブラックフライデーでの平均消費額が598ドルに対し、後払い決済を利用しなかった人の平均消費額は452ドルだった。
後払い決済をご存知ない方に説明すると、過去の取り置きサービス(低所得者層を対象としたアメリカの支払いサービス)のようなものだ。一定期間内に残額を支払えば、利息は発生しない。もし期限内に支払わなければ、クレジットカードと同じように、さまざまな形で支払うことになる。
9月現在、流通する10億枚のクレジットカードの累積未払い残高は1兆790億ドルに達し、ニューヨーク連銀が1999年に追跡を開始して以来、最高の残高となった。
さらに、個人のクレジットカードの平均未払い残高は6000ドルを超え、過去10年間で最高であることが、トランスユニオン社の最新の報告書で明らかとなった。
最低限しか支払わない、支払いを怠る、あるいは何ヶ月も未払い残高がある。そのような人がクレジットカードをデフォルトの決済手段として使用すると、非常に高くつく可能性がある。
もちろん、この後払い決済は小売業者の収益を変えるようなものではない。結局、小売業者は代金を回収し、消費者は支払うことになる。
このホリデーシーズンに1セントもお金を使わない人々がいることは非常に残念だ。WalletHubの調査によると、アメリカの3人に1人以上がインフレを理由に今年、プレゼントを贈らないことが明らかになった。さらに悪いことが、アメリカの約4人に1人が2022年のホリデーシーズンに購入した商品の代金の支払いが終わっていないということだ。
避けられない支払いを先延ばしにするだけではなく、人々はこれまで以上に掘り出し物を探している。高額商品ではなく、ディックス・スポーティング・グッズ(DKS)やアカデミー・スポーツ・アンド・アウトドアーズ(ASO)といった小売業者の低価格の割引商品を探しているのだ。
一部のエコノミストは、ブラックフライデーとサイバーマンデーの間に消費が増加したのは、週末までお得な商品を手に入れるために待っていたからだと指摘した。
それは、洋服、家電製品、おもちゃ、家具、宝飾品、スポーツ用品など、これまで敬遠していたようなものだ。皮肉なことに、10月のインフレ統計で最も値下がりしていたのはこれらの商品だった。
私は他のアナリストと同様、ホリデーシーズンの消費が2024年まで続くとは考えていない。家賃、食料品、エネルギーなどの必需品が値下がりするまでは、不況が続くかもしれない。
もしあなたが今年を締めくくる銘柄を探しているなら、Affirm(AFRM)やクレジットカード界のキングとクイーンのようなVisa(V)やMastercard(MA)などの後払い決済を提供する企業を見てみるのもいいかもしれない。
Affirm(AFRM)の株価は、サイバーマンデーに12%急騰し、後払い決済の人気が急上昇したことに伴って年初来、約4倍となっている。
ただ、今すぐ支払えるお金がない限り、株を買うことは得策ではないし、信用取引をするのもおすすめではない。
また次回。
ギャビン・マゴール
※ 広く一般の投資家に情報としてお届けする事を目的とした記事であり、Weiss Ratings Japanが運営する投資サービスの推奨銘柄ではありません。予めご了承下さい。