[nextビットコイン]上昇トリガー発生中の暗号資産は…
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- 2024年6月16日
- トピックス
今から約5ヶ月前、金融市場を一変させうる出来事が起こりました。
あなたはこのニュースを覚えているでしょうか?
画像:Reuters[米SEC、ビットコイン現物ETF初承認]
このビットコインETFの承認は、「株式のように証券口座から暗号資産を取引できるようになる」という画期的な出来事でした。
これによって、ビットコインへ多くの金額が流入。その結果、ビットコイン価格は承認以来49%上昇しています。
そして、実は5月末、ビットコインETFに次いでもう1つの暗号資産ETFが承認されました。
まだこの暗号資産ETFは取引が開始していませんが、株式と同じように証券口座から取引が可能となることによって、ビットコインETFと同様、さらなる上昇のトリガーとなるかもしれません…
Weiss Ratingsのアナリストで暗号資産投資のスペシャリストであるジュアン・ビラベルデ氏は、ビットコインをはじめとした暗号資産がここ数ヶ月の間、急上昇している一方で、低迷が続いているこの暗号資産もETFが承認されたことによってようやく状況が一変すると分析しています。
さらにジュアン氏は、強気相場の中で暗号資産の上昇のきっかけと捉えるには、ファンダメンタルズよりも重視すべきことが1つあると言います。
それでは続きをご覧ください。
イーサリアム(ETH、「A」)は最近まで、暗号資産投資のベテランと初心者、どちらもから敬遠され、悪評に苦しんできた。
ベテランは、ビットコイン(BTC、「A」)のETFが承認されたことで、イーサリアムが暗号資産の中でも突出したパフォーマンスを叩き出すきっかけとなる「物語」がなくなったと考えた。
初心者は、新たに生まれたソラナ(SOL、「B+」)という暗号資産が、あらゆる面でイーサリアムよりも優れていると信じ、彼らの投資資金はそちらへと流れていった。
私の意見では、このような考えは全くのナンセンスだ。しかし、それらが暗号資産の価格に与える影響は否定できない。
実際に、昨年10月にビットコインが150%以上上昇したことで暗号資産に強気相場が訪れたのにも関わらず、イーサリアムは出遅れている。
この強気相場で人気者となっていたソラナは、2023年10月以降650%以上上昇し、素晴らしい結果を残した!
もう1つのレイヤー1の暗号資産、アバランチ(AVAX、「B+」)は300%以上上昇している。
※レイヤー1:ブロックチェーンの土台となる基盤のインフラのこと。ビットコインやイーサリアムなどのブロックチェーンが当てはまる。
イーサリアム自体はどうだろうか?かろうじて2倍になっただけだ…強気相場の中ではかなり低調と言える。
しかし、この状況が一変しようとしている。
まずは、暗号資産のベテラン投資家と初心者の投資家の懸念について考えてみよう。
物語1:ソラナは客観的に優れた暗号資産である
ソラナはイーサリアムよりも素早く取引ができる。しかし、この取引速度の向上は、新技術の画期的なブレークスルーによるものではない。
技術的な詳細は割愛するが、簡単に言うと、ソラナはバリデーター(新しい取引を検証し、ブロックチェーンのセキュリティを維持する人)に、より良いハードウェアと高速のインターネット接続の使用を要求することで、他の暗号資産の取引速度を上回ることを達成している。
つまり、それは革命が起きたということでは無い。実際、取引速度もそうだ。
ソラナの創設者は、彼らの高性能ブロックチェーンが1秒間に数万にも及ぶ取引を簡単に処理できると語った。彼らはこれを証明するために、厳密に管理された環境でテストを行った。
だが、実際にはソラナは以前、毎秒4000件近い取引が行われたときに停止したことがある。
参考までに、アービトラム(ARB、「B-」)やポリゴン(MATIC、「B」)のような増え続けるレイヤー2ネットワークも含めると、実際にはこれはイーサリアムよりも遅い。
イーサリアムのレイヤー2ネットワークであるアービトラム(ARB、「B-」)やポリゴン(MATIC、「B」)も含めた場合、ソラナはイーサリアムの取引速度よりも遅い。
※レイヤー2:レイヤー1であるビットコインやイーサリアムのようなメインのブロックチェーンの上に構築された二次的なネットワークのこと。取引規模の増大や取引速度の向上に役立つ。
しかし、それだけではない。
毎秒4000件の取引が発生すると、単純なウォレット間の送金さえも不可能になる。
つい先日の夜、私はこのブロックチェーンを使って、いくつか簡単な取り引きを行う必要があったが、結局、30分間も椅子から動けなくなってしまった。同じ取引を何度も何度も出し、最終的に取引が完了するのを待っていたからだ。
イーサリアムのようなブロックチェーンは、このような場合でもネットワークの混雑を巧みな方法で処理する。取引の確認に数分かかったとしても、ソラナと違って、一度提出すれば取引が成立する。たとえ通常よりも時間がかかったとしても、きちんと取引が処理される。
ただソラナの場合はそうはいかない。ネットワークが混雑すると、約30秒後に取引が失敗する。つまり、ユーザーは再度、注文を出さなければならない。
イーサリアムやそれに類似する他のブロックチェーンに見られるような一度設定したらそれ以上の操作は必要としない「セット・アンド・フォゲット」機能はない。ソラナでは常に自分の注文がうまくっているか確認する必要がある。
事実として、ソラナは問題なく動作するときにはイーサリアムよりも利点がある一方で、イーサリアムはユーザー体験には一貫性がある。
そして、私の意見では、イーサリアムは今日の暗号資産の中で最も優れたユーザー体験を届けている。
これは決して、イーサリアムが持つ様々な欠陥や問題点を帳消しにするものではない。実際に欠陥や問題点は多くある。
特に私が懸念しているのは、イーサリアムのレイヤー2ネットワークが互いに独立しており、流動性が分断されるなど、あらゆる面で非効率な部分があることだ。
しかし、信頼性とユーザー体験という点では、イーサリアムは他の追随は許さない。
私の意見ではあるが、ビットコインも含め、今日の暗号資産の世界では、最も優れたものだと考えている。
イーサリアムが集めるもう1つの批判は、日常的に使うには高価すぎるという点だ。
ただこれは、イーサリアムをレイヤー1ネットワークだけだと考えて、レイヤー2ネットワークを考えない場合に限られた話だ。
レイヤー2ネットワークを考えれば、イーサリアムを何億人ものユーザーに拡張することができる。そのため、先ほどの批判は大きな間違いだ。
また、ソラナは使いやすいように見えるが、これには多くの人が騙される巧妙な策略だ。
ソラナには多額の補助金が支払われている。エンドユーザーが取引に支払う費用は、毎日大量の新しいソラナのトークンが生み出されることで相殺されるため、あまりかからない。
このため、名目上の低い取引コストはお得ではない。直接的な費用は払わなくても、全てのソラナトークンの保有者とともにそれを隠れた形で間接的に払うことになる。
ただ、誤解しないでほしい。私はユーザーとしては批判的だが、投資家としてはとても気に入っている。
というのも、ソラナは上昇し続けているからだ!先ほど言ったように、暗号資産が強気のサイクルに入ってから650%以上も上昇している。
暗号資産ソーシャルメディアの間では、ソラナは「コンシューマー・チェーン」とも呼ばれている。
それはなぜか?条件が噛み合った場合、その取引速度はweb3とDeFiに大勢の新規ユーザーを惹きつけると信じているからだ。
さて、ここまでで私が、ソラナが優れているという意見を疑っている理由を説明した。しかし、ソラナは多くの競争相手を上回っているという客観的な事実を変えるものではない。
私の親しい友人であり、同僚でもあるブルース博士がよく次の言葉を口にする。
「今のような暗号資産の強気相場では、ファンダメンタルズよりも、その暗号資産にまつわる物語が重要だ。」
そして、実際にソラナの物語は圧倒的なものだ。
欠点はあるものの、多数の投資家とユーザーは、ソラナが世界初のスマートコントラクト・ブロックチェーンになる運命だと確信している。
※スマートコントラクト:ブロックチェーン上で動くシステム。「事前に決めた条件に基づいて、それを満たした場合には自動的に契約が実行される」という仕組みのこと。
そして、その物語自体が、この強気相場でイーサリアムよりもソラナが上昇している理由にもなる。この上昇は当面の間続いていくと私は予想している。
では、イーサリアムをめぐる物語はどんなことがあるのか?それは…
物語2:イーサリアムにはさらなる上昇を促す物語はない
これを信じるには、外からの情報を遮断している必要がある。特に最近ではイーサリアムのETF承認が待ち望まれていたからだ。
5月20日、アナリストたちは、最初の申請が承認される可能性は25%とかなり厳しいものになると見ていた。
しかし、その日の午後、SECは、ステーキングに関する言及を削除するために申請書を修正するように求めた。
※ステーキング:投資家が事業者に暗号資産を預け入れ、事業者は得られた報酬を投資家に分配する仕組みのこと。暗号資産を売買しなくても、預けている間に高い報酬が得られる。
この修正は、ビットコインETFの承認前にも見られたもので、アナリストの楽観的な見方を後押しし、承認の確率を75%に引き上げた。
そして、これはイーサリアム自体にも伝染し、1日の間に19%も急騰した!
SECは23日、イーサリアムETFの上場を正式に承認したが、特定のETFを承認したわけではなかった。これは、私の同僚であるマリヤ・マティッチが可能性が高いと分析していたシナリオの通りとなった。
マリヤによると、部分的な承認から得られる最もホットな収穫の1つは、SECがイーサリアムを証券としてみなしていないという事実だ。これはETF承認の決定に至る懸念事項であった。仮に証券に分類されていれば、SECによる規制監視はより厳しくなる。
しかし、SECは「イーサリアムはコモディティであり、これはもう決定事項である」と発言している。
イーサリアムのETFが取引可能になるのは時間の問題だ。
これはイーサリアムをトップパフォーマンスを誇る暗号資産としてもう一度地位を確立するのに十分強力な物語となるはずだ。ETF申請の背後で、大手機関がイーサリアムのポジションを構築し始めている。
したがって、短期的にイーサリアムのパフォーマンスが低迷しても落胆する必要はない。この強気相場で、イーサリアムとって最良の日となるのはすぐそこにある。
それでは。
ジュアン・ビラベルデ
※ 広く一般の投資家に情報としてお届けする事を目的とした記事であり、Weiss Ratings Japanが運営する投資サービスの推奨銘柄ではありません。予めご了承下さい。