S&P500より人気ETFの危険な事実
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- 2021年11月2日
- トピックス
こんにちは。
Weiss Ratings Japanの安居です。
昨日、無料公開している4つの格付けレポートを更新しました。
↓
今回も面白い銘柄や意外な順位変更があったので、ぜひ確認してみてください。
僕のメルマガ記事も過去のものをブログ記事として公開しているので、よかったらそちらもご覧ください ^^)
また、前回の「有名米国株の格付けレポート」でウォルマートの配当利回りに誤りがありました。大変申し訳ございません。
メルマガにいただいたコメントで気づきました。ご指摘いただいた方、ありがとうございます。
前回のメルマガでは、AT&Tを取り上げたのですが、
===
担当者の勧めで買いましたが下落が続いております。理由わかりました
株福亭利確 様
丁度、AT&Tを検討していたところだったので今回の記事はとても参考になりました。有益な情報を配信して頂き有難うございます。
ren 様
===
といった声をいただきました。人気銘柄なので実際に投資されている、ちょうど検討されている方も多かったようです。
今回も人気の個別銘柄を取り上げようと思ったのですが、少し趣向を変えて、「レバレッジETF」をテーマにしたいと思います。
レバレッジETFに投資している投資しようと考えていたという方は絶対に知っておいて欲しい内容なのでぜひ最後までご覧ください。
さて、「レバレッジETF」ご存知ですか?最近すごく人気ですよね ^^)
レバレッジETFというのは、S&P500やナスダック総合株価指数の2倍3倍の動きをするETFなのですが、
例えばこちらはNASDAQ100に連動したインデックスファンド「QQQ」と、QQQの3倍レバレッジETFの「TQQQ」の比較。
GAFAMに代表される大手テクノロジー企業が中心のNASDAQ1005年で200%以上のリターンを生んでいます。
でも3倍レバレッジETFの「TQQQ」と比べるとほとんど横ばいに見てしまいますね ^^);
「TQQQ」のリターンが圧倒的で、もし5年前に100万円投資していたら、今では1400万円近い資産になっています。
多くの人が投資するのも納得ですね。
どれくらい人気かというと、SBI証券の「米国ETF 売買代金ランキング」で上位にレバレッジETFが3つもランクインしているほど。
(赤枠がレバレッジETF)
楽天証券の「米国ETF 売買代金ランキング」ではまさかのトップがレバレッジETFでした。
(赤枠がレバレッジETF)
特に最近人気なのが、上の画像にもある「3倍」レバレッジETFです。
※インバース型と呼ばれるものもランクインしていますが 今回は話題にしないので省いています
なのでここで「レバレッジETF」と言う時最近人気の3倍レバレッジETFだと思ってください。
このレバレッジETF、うまく使えば資産形成を加速させる素晴らしい投資だと思いますが、ちゃんと理解していないとかなり危険なんです…
ということで、レバレッジETFに投資するなら絶対知っておきたい3つの事実を見ていきましょう!
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今日は、Weiss Ratingsの格付けの話ではなく僕の個人的な意見です。その点はご了承ください ^^)
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①3倍になるのは1日だけ
そもそも、レバレッジETFは、指数の”1日の値動き”の3倍になるように運用しているETFです。
SBI証券、楽天証券で上位にランクインしていた「SPXL」というS&P500の3倍レバレッジETFでは、
❝S&P500指数の日々のパフォーマンスの300%を目指します❞
とはっきり書かれています。
それがどうしたの?と思うかもしれませんが、実はこれが”1日以上の投資”では致命的になる場合があります。
もし一日で30%下落して、次の日には50%も回復さらに翌日も20%回復した、という場合を考えて見ましょう。
(わかりやすいように大きな値動きで書いていますが小さな値動きでも同じことが起こります)
青色が指数、赤色がその3倍レバレッジETF。
指数が30%もの暴落から回復し、高値を更新しているのに、レバレッジETFは半分以下になっています。
指数が50%上昇した日、レバレッジETFは150%も上昇。上のグラフでも「10」から「25」に150%上昇していますよね。
でもそもそも前日に90%も下がっているので、元の価格にはまったく戻れていません。
1日の値動きの2倍になるレバレッジETFは2日以上持つとどんどん指数から乖離していくんです。
もちろん指数が上がり続ければレバレッジETFは3倍以上のスピードで上がりますが、実際には上がって下がってを繰り返しながらゆっくり上がっていくことが多いですよね。
この場合、指数は上がっているのにレバレッジETFの損失が膨らんでいく…ということが起こり得るんです。
②(現実)15年保有してマイナス80%
実際、長期で保有したらどうなるのでしょうか?楽天証券、SBI証券で人気のSPXL、SOXL、TECLはどれも2008年以降に登場しました。
2008年から今年まで、S&P500は年単位では一度も下落せず最高値を更新し続けています。
そういう相場だと、レバレッジETFは強いですね。
でも長期で投資するなら良い時だけでなく悪い時を乗り越えられるかが重要です。
もっと前から運用されているレバレッジETFはないんでしょうか?
3倍レバレッジはありませんが、2倍レバレッジならありました。
こちらは2000年から今も運用されているNASDAQ100の2倍レバレッジの投資信託です。
なかなか見たことがない株価推移をしていますよね^^)
もしITバブルのピークで投資していたら、15年持ち続けても80%以上のマイナスです。(指数のNASDAQ100はすでに最高値更新しています)
この銘柄は21年かけてようやく、今年の夏に最高値を更新しました。
レバレッジETFに投資している人にこの話をすると
・最高値で買っているからだ
・下落したときに買い増せばいいということを言われますが、、、
今が最高値じゃない保証はどこにもないですよね。
ちなみに、ナスダック100の3倍レバレッジETF「TQQQ」をもしITバブルのピークで投資していたらどうなっていたか…
その時TQQQは存在しなかったのであくまでもシミュレーションになりますが…
ITバブル崩壊から99.98%も下落して、現在も80%以上の損失のままなのだそうです…
100万円が200円ですよ。本当に買い増せますか?
確かに底値で買い増したら大きなリターンが狙えるのかもしれませんが僕には買い増せる自信がありません…
③設定変更は現実に起こる
レバレッジETFには”設定変更リスク”があります。
これはETFがもともとの設定を勝手に変更してしまうリスクのこと。
個人的にはレバレッジETFに長期で投資する場合、これが一番大きなリスクだと思います。
「3倍レバレッジで運用しますよー」と言っていたのに、ある日
「3倍やめて今日から2倍にします!」
「運用辞めるのでお金返します!」
と言い出す感じです。
こんなこと実際にあるの?と思うかもしれませんが、別に珍しいことじゃありません。
例えば、Direxion(ダイレクション)という運用会社は6つのレバレッジETFについて、2020年4月1日から3倍レバレッジを2倍レバレッジに変更すると発表しました。
その発表があった日は…
2020年4月1日です。
もうちょっと前にお知らせしてくれる時もあります。
2020年3月27日に行う変更を、3日前の2020年3月24日に発表してくれました。
ちょっと良心的ですね。笑
ただこの変更は、3倍を2倍にするとかではなく、2020年3月27日にETFを廃止し、償還する(預かったお金を返す)という内容でした。
ご存知と思いますが、昨年の3月、4月といえばコロナショックで大暴落しているタイミングでしたよね。
想像してみてください。
S&P500でも30%以上も大暴落。3倍レバレッジに投資していた人は大きな損失を抱えたと思います。
勇気を持って底値で買い増したぞ!レバレッジETFだからすぐに回復してくれる!と思っていたら、、
「3倍やめて今日から2倍にします」
「運用辞めるのでお金返します」
と言われるんです。
そんなの、いい加減な運用会社だけじゃないの?と思うかもしれませんが、
Direxion(ダイレクション)はETF運用の大手。
楽天証券、SBI証券でランクインしていたSPXL、SOXL、TECLは全部、Direxion(ダイレクション)が運用するETFです。
その時、3倍レバレッジから2倍レバレッジに変更された実際のETFと指数の値動きはこんな感じです。
黄色が指数。青色がレバレッジETFです。
指数はコロナショックの暴落から急反発。しっかり高値を更新していますね。
でも3倍のスピードで落ちた後、2倍に設定変更されたレバレッジETFは高値を更新する気配がまったくありません…
(その前の数年も指数は横ばいなのにレバレッジETFはどんどんマイナスになっていますね…)
なんでそんなことをするかと言うと、レバレッジETFの仕組みと、運用会社の収入に理由があると思います。
仕組みについては触れませんが、運用会社の収入については簡単にイメージできます。
レバレッジETFは高い手数料をもらって、アグレッシブな取引で3倍の値動きを実現しています。
もしETFの評価額が10分の1になれば…運用会社の収入も10分の1になってしまいます。
「運用やめさせてください…」と言うのも仕方ないかもしれませんね…
ということで今回は、レバレッジETFの”危険”な部分を3つ紹介しました。
が、レバレッジETFにはマイナスな面だけでなくプラスの面もあります。
最初に言ったとおり、上昇している時にうまく使えば資産形成を加速させる素晴らしい投資だと思います。
ただ、モノや商品には役割や機能があります。
超高性能なスマホでも、防水機能がないのにお風呂場で使ったら壊れますよね。
お風呂場で使うことを想定されていないから当然です ^^)
ということで、最後にウォーレン・バフェットの言葉を。
ちなみにですが、レバレッジETFがどうやって3倍になるよう運用しているかはご存知ですか?
(個人のレバレッジ取引のように資金を3倍にしているわけではありませんよ)
レバレッジETFに投資する前に、どういう仕組みなのか、何に投資しているのか調べてみてください。
P.S.
Weiss Ratingsは1万銘柄以上ある全ての米国株を日々評価しています。
格付け情報のほか、アメリカ人アナリストの記事もたくさんあるので、ぜひご覧ください
https://weissratings.jp/
P.P.S
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