原油高に対抗する米国の秘密兵器
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- 2022年10月12日
- トピックス
OPECは、人の気分を台無しにするのが好きらしい。
石油カルテルとその同盟国であるOPEC+は、先日11月の目標石油生産量を日量200万バレル削減することで合意した。
実際、多くのOPEC加盟国が目標生産量を下回っているため、実際には日量90万バレルの削減となる。しかし、原油価格の高騰など、すでにインフレで圧迫されている世界にとっては、歯がゆいニュースだ。
朗報なのは、日量90万バレルというのは、バイデン政権が戦略石油備蓄から毎月放出している量とほぼ同じであり、さらに放出する可能性もあることだ。それが、OPECの減産ニュースで原油価格が急騰しなかった理由の一つだ。
もう一つの理由は、電気自動車の販売急増がすでに世界の石油消費量を圧迫していることだ。下のチャートをご覧頂きたい。
このチャートが示すのは、電動スクーターから乗用車、商用車、バスに至るまで、あらゆるタイプのEVが、すでに1日あたり150万バレルの石油消費を代替しているというものだ。
さらに、ブルームバーグのニュー・エナジー・ファイナンス(NEF)によると、EVは2025年までに毎日250万バレル近くの石油を代替することになるという。
ブルームバーグNEFによるその他の予測:
- 世界の道路を走る内燃機関車の台数は、2024年に縮小に転じる。
- 内燃機関車の新規生産は、おそらく2017年にピークを迎えた。2025年には、EVがより多くのシェアを占めるようになり、内燃機関車販売台数は最高値から約19%減少すると予想されている。
- BNEFは、ガソリン需要が2026年にピークに達し、道路輸送による石油総需要は翌年に頂点に達すると予想している。
OPECが減産したがるのも納得がいく。未来が忍び寄っていることは、怖いことだろう。
本格化するEV販売
2021年に消費者が購入したEV車は世界で660万台だ。2025年には売上高が3倍になると予測されている。 その結果、2035年には4億6900万台のEV車が走行している可能性がある。
確かに中国やヨーロッパでは急成長しているが、今に始まったことではない。遅れていた米国が、ようやく乗り気になってきた。今年に入ってからの米国でのEVの販売状況を見てみよう。
複数の自動車メーカーが2022年の最初の7カ月間に販売したEVの台数は、昨年の全期間を上回った。新たな税制優遇措置も後押ししている。そして今、フォード(F)とゼネラルモーターズ(GM)が新しいEVを展開している。これでさらに販売数が増加するだろう。
投資家はどう対応すべきか
EVは、リチウムイオン電池を搭載している。これらの電池は、リチウム、ニッケル、コバルト、銅、亜鉛などから作られている。
新しいタイプの電池も開発中だが、それは何年も先の話だ。つまり、現在のバッテリー金属は良い賭けだと考えられる。
当然ながら、リチウムは高値圏でリードしている。
2021年に価格が高騰したため、電池に使われる炭酸リチウムの価格は1年で229%も上昇している。今年に入り、価格の高騰は一段落した。
この減速をきっかけに、リチウム株は投資家の手控えから売られるようになった。リチウムの需要は何年も続く可能性があるため、今売っている投資家にとっては機会損失になるだろう。
これらの銘柄は、元々すでに良い投資先であったが、今、さらに良い銘柄が割安となっている。
バッテリー金属にレバレッジをかけた鉱山株などに連動する上場投資信託を購入しても良いだろう。グローバルXリチウム&バッテリー・テックETF(LIT)だ。
LITは、リチウム鉱山のアルベマール(ALB)やソシエダード・キミカ・イ・ミネラ・デ・チリ(SQM)など、さまざまな銘柄を保有しているが、それだけではない。LITは、鉱山・精製会社から電池・EVメーカーまで、リチウム・電池・EVのパイプライン全体に投資している。総経費率は0.75%。
過去6ヶ月間のLITのパフォーマンスをS&P500と比較したチャートを見てみてみよう。
市場には厳しい状況が続いており、指数の下落がLITの足を引っ張っている。しかし強いトレンドに乗ったLITはS&P500の半分しか下げていない。そして、次の上昇局面では、割安なリチウムレバレッジ銘柄のパワーが発揮されるだろう。
S&P500の弱気相場から身を隠す場所を探しているのであれば、バッテリー金属銘柄は絶好の選択肢となる。それは、EVが未来への道であり、米国がOPECを打ち負かすのに役立つからだ。
いつものように、ご自身でデューデリジェンスを行うことを忘れないでいただきたい。
あなたの成功を願って。
ブロドリック
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