債務上限危機を恐れるべき理由
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- 2023年5月24日
- トピックス
アメリカは、信用収縮とそれに起因する銀行危機に苦しんでいるが、連邦政府の債務上限をめぐる争いという、別の危機に向かって進んでいる。
米国はしばらく債務不履行に陥ると思われるが、その結末は予想できない。これからお見せするように、市場がどう反応するかを予測することは不可能だ。
良いニュース:自分の身を守るために買えるものを紹介しよう。
悪いニュース:アメリカは薄氷の上を歩いている。そして今年の6月には、その氷を突き破ってしまうようだ。
債務上限が未解決であることが意味するものは以下のとおりだ。
– 政府は閉鎖される。
– 連邦政府職員(軍隊を含む)は給料を受け取れない。
– 郵便局や国立公園などの連邦施設は閉鎖される。
– 米国の経済活動の約1/10が短期的に停止する可能性があるため、経済成長は低迷すると思われる。
– 米国の信用格付けが下がる可能性があり、すべての借入費用が上昇することになる。
このようなことは起こらないのだが。
しかし、ワシントンの政治家たちは、アメリカ経済の頭に銃を突きつけ、すでに踏み倒した借金の返済を拒んでいる。
確かに、現在31.7兆ドルに上るアメリカの財政赤字の額は心配なものである。
そして、その債務増大について議論することは、価値があり、必要だ。両党とも手をこまねいている。 しかし、すでに存在する請求に対して支払うのである。
債務上限は何度も引き上げられてきた。1960年以降、議会は78回、直近では2021年に上限を引き上げている。このうち49回は共和党の大統領の下で行われ、29回は民主党の大統領の下で行われた。
万が一、米国の債務不履行が数日以上続いた場合、米国経済と世界経済の両方にに激震が走る可能性がある。既存の債務を返済するために、債務上限を引き上げることを拒否するのは非合理的だ。
米国債務不履行のリスク
この危機はすぐには解決しないだろう。そうすると、すぐに解決するかどうかは別として、債務不履行に行き着く。投資家はすでに米国の債務不履行を想定している。
史上最高水準の債務不履行リスク
投資家にとって重要なのは、 アメリカにおいて債務不履行の危険性が高いときに何を買うかである。
ひとつアイデアがある。金だ。
アメリカが債務不履行の危機に瀕したとき、金と金鉱は非常に良い結果を出すことが歴史的に知られている。最悪の危機のひとつは2011年であった。その債務不履行危機は、スタンダード&プアーズが米国の国債を格下げするきっかけとなった。
その危機は、主要な株価指数も急落させた。その中でパフォーマンスが良かったのは、金と金鉱だ。以下はその歴史を示すチャートだ。アメリカが債務不履行の深刻なリスクにさらされた時期を黄色で囲んだ。
金、金鉱、S&P500を比較した価格チャート
危機は長くは続かなかったが、株価は急落したことがわかるだろう。金と金鉱は、危機を前にして暴騰を始め、危機が去った後もジグザグに上昇し続け、最後は地上に戻ってきた。その危機の中で、金は当時の史上最高値を更新した。
時間を今日まで早送りしよう。これは、株を売れということだろうか。必ずしもそうではない。すべての危機は異なる。モーニングスターは、債務上限危機による閉鎖を含め、連邦政府の閉鎖について調査した。その結果、ハンマーで株を破壊したのは、2011年の1回だけであることが判明した。
連邦政府の対決と株式市場
2011年は何が違ったのだろうか。説明するのは難しい。しかしこの表は、すべてを売ることが解決策にならないかもしれず、おそらく悪い考えであることを示している。それよりも、正しいものを保持することで自分を守ることが良い選択だ。
ということになるのだが・・・。
金と金鉱
鉱山の買い方はご存知だろうが、金そのものの買い方はご存知だろうか。
先日、ラスベガスで開催されたMoneyShowに参加してきた。そこで、アセット・ストラテジーズ・インターナショナル(ASI)の社長兼COOであるリッチ・チェッカンに話を聞いた。同社は、顧客の金の現物購入を支援する会社である。
リッチとは、金、銀、プラチナの見通しをはじめ、さまざまな話題で盛り上がった。
同様の企業は多く存在するので、必ずしもASIで購入する必要はない。ただ、購入先がどのような会社であれ、長い間、定評のある会社であることを確認してほしい。
アメリカは債務上限危機に突入しているが、私は金の現物を所有していることで安心感を得ている。持っていない人は、ぜひ手に入れることを検討してみよう。嵐が来ている。そして歴史的に、金は最悪の金融の嵐の中で最良のシェルターとなってきたのだ。
健闘を祈る
ショーン
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