【徹底解説】4つのテクニカル指標(後半)
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- 2023年6月9日
- トピックス
こんにちは。Weiss Ratings Japanの安居です。
さて、今日は昨日の続きで、僕が普段使っているテクニカル指標を紹介したいと思います。
↓
4つのテクニカル指標(前半)
前提条件の振り返りですが、僕はあくまでも長期投資を前提に、すでに投資するつもりの銘柄の優先順位と指値ポイントを決めるためにテクニカル指標を使っています。
テクニカル指標がいいから買おう!と考えるのではなく、
すでに買うつもりの銘柄の中で、比較的テクニカルの目線でもお得と考えられるものを買おうと考えているわけです ^^)
ということで早速、、、
と思いましたが、その前に直近の相場を振り返っておきたいと思います。
【直近の相場解説】
※tradingview
昨年10月ごろからのチャートですが、順調に上がっていますね ^^)それぞれの移動平均線の上にあるので、基本的には上昇トレンドと考えていいでしょう。まだ200日、350日の長期移動平均線が下向きなのは不安ですが、大きなネガティブサプライズがなければしばらくは順調に推移しそうな雰囲気です。
そういえば昨年11月に「ここから半年は100%上昇する?」というメルマガをお届けしました。
このメルマガでは、1950年以降の中間選挙後6ヶ月の平均リターンは15.2%で、100%上昇しているというデータを紹介したのですが…
このメルマガをお届けした日から現在まで、8%ほど上昇しています。
例年ほどではないものの、中間選挙後半年間は100%上がるというアノマリー(経験則)は、今回も通用したようです ^^)
債務上限、銀行破綻、利上げ、インフレ率…
昨年から今年の前半にかけて市場を賑わせてきたニュースは一服した感じがありますが、僕がちょっと怖いなと思っているのはこちらのデータです。
こちらはアメリカの個人の貯蓄率。2020年、コロナ禍の現金給付などで貯蓄率が急騰した後、激しいインフレによって急降下。現在、過去10年の平均で見てもかなり低い水準にあります。
米国経済は強力な個人消費が支えている面もありますから
貯蓄率の低下↓消費抑制↓業績悪化・景気後退
とならないかに注目です。
もっとも、消費が抑制されてインフレ率が下がればFRBも利下げしやすくなるので、株価がどう反応するかは現状読めません ^^;
こちらは年初来のS&P500構成銘柄のリターン。
S&P500は年初来およそ11%上昇とまずまずですが、個別株を見ると様子は全く違います。
アップルが38%
マイクロソフトが40%
Googleが42%
アマゾンが49%
テスラが76%メタが125%
そして、、、
エヌビディアが168%と、一部の銘柄が驚異的な上昇を見せています。
一方、僕が大好きな高配当ヘルスケア銘柄の
ジョンソンエンドジョンソンは-10%
アッヴィは-13%
ユナイテッドヘルスは-6%と冴えない値動き…
昨年強かったエネルギーセクターもマイナス。安定銘柄のコカコーラやP&Gなどもマイナスです。
この辺は先ほどお見せした貯蓄率を反映しているのかもしれませんね。P&G製品などを買う一般消費者は貯蓄率が下がると節約志向が高まります。一方、最近話題のAIサービスにお金を払うのは企業か、お金のある個人がメインなので影響を受けにくいのかもしれません。
僕のような高配当投資家にとっては寂しい相場…
エヌビディアの上昇を指を加えて眺めながら、粛々と高配当銘柄を仕込んでいます ^^;
ということで前置きが長くなりましたが、僕が使っている4つのテクニカル指標の後半にいきましょう!
❸MACD
僕が普段使っているテクニカル指標の3つ目は「MACD(マックディー)」です。
「Moving Average Convergence Divergence」の略で日本語にすると「移動平均収束拡散」という意味ですが、当然、覚える必要はありません ^^)
MACDは短期と長期など、異なる2種類の移動平均線を使います。チャート上にはこんな形で表示されます。
※tradingview
赤枠で囲った部分がMACDで、青とオレンジの2本の線が表示されていますね。
青色の線は短期移動平均線と長期移動平均線の差を表しています。つまり、青色の線が上に行くということは、短期移動平均線が長期移動平均線よりも早く上昇している=強い上昇トレンドが発生していると考えることができます。
オレンジ色の線は、青色の線の移動平均線を表しています。つまり、青色の線がオレンジ色の線より上にある時は、短期的にすごく上昇している、しかもその上昇スピードが以前よりも早いことを示しています。
ちょっと複雑ですが、ようするに2本の線の位置関係で、直近のトレンドがどうなっているかを知ることができるということです。
どのように使うのか?
僕は長期投資を前提に、安くなったところで買いたいわけです。つまり、下落トレンドの最後の方で買えたら最高です。
青色の線が下に行くということは、短期の移動平均線が長期の移動平均線よりも早く下落している=強い下落トレンドを示しています。
しかも、オレンジ色の線との差が下向きに広がっているということは、直近の下落スピードが増していることを表しています。
長期投資家にとっては美味しい下落相場ですね ^^)
といっても、そのまま下落し続けるのは嫌です。できれば下落トレンドが終わったところで投資したい…
そこで、青色の線が少し上を向いて、オレンジ色の線との差が縮まるタイミングを狙います。
どういうことかというと…
※tradingview
この画像の青枠で囲った部分を狙うということです。青色の線がグーっと下がっていき、ちょっと上を向き始めてオレンジ色の線に近づくタイミング…
これは直近の下落スピードが下がり、上昇に変わりはじめたことを示唆しています。
矢印で示したチャートを見ると、青枠で囲ったあたりで短期的には上昇していることがわかりますよね。
その後すぐ下落に転じたところも多いやじゃないか!なんて言わないでください ^^;
あくまでも、あがろうが下がろうがどうせ投資するつもりの銘柄を、すこしでもお得なタイミングで買うための活方方法です。
MACDは指値ポイントを決める時にはあまり使いませんが、優先順序を決める時によく見ています。
例えば、
・MACDの差が下向きに大きく開いた後に収束が始まっている場合は、上昇トレンドに転じる可能性が高いので、指値をせず成り行きで買う
・MACDが上向に広がっている時は下落に変わる可能性が高いので優先順位を下げる
などです。
移動平均線やボリンジャーバンドよりも定義が複雑な指標ですが、2本の位置関係からトレンドをパッと判断できるので、使い勝手がいいテクニカル指標だと思います ^^)
❹RSI
僕が使っているテクニカル指標4つ目は「RSI」です。「Relative Strength Index」の略で日本語では「相対力指数」と言いますが覚えなくてOK。僕も覚えていません ^^;
一応計算式を紹介しておくと、
RSI=A÷(A+B)×100
A:n日間の値上がり幅の合計
B:n日間の値下がり幅の合計
となります。
大丈夫。僕も「へ〜そうだったんだ」って思いながら書いています ^^)
例えば10日間の間にこんな値動きをしたとします。
1日目:+2ドル
2日目:+3ドル
3日目:-1ドル
4日目:+1ドル
5日目:+4ドル
6日目:-3ドル
7日目:-2ドル
8日目:+3ドル
9日目:+3ドル
10日目:-1ドル
直近10日間の合計値上がり幅は16ドル合計値下がり幅は7ドルです。
計算式に当てはめると、
16÷(16+7)×100=69.6直近10日のRSIは69.6となります。
要するに、RSIは直近の値上がり幅が大きいほど高く、値下がり幅が小さいほど低い数字が出ます。なので、相場の過熱感を測るために使われているんです。
※tradingview
実際にRSIを表示したチャートがこちら。RSIは一般に70以上で割高、30以下で割安と言われます。ここではその範囲が紫に塗られているので、その範囲から出た場所に注目してみました。
赤丸はRSIが70以上、つまり割高だと示していたところです。その少し後で、チャートも下落し始めていることがわかりますね。
青色はRISが30以下、割安だと示していたところです。こちらは逆に、その後しばらく上昇していることがわかりますね。
これも使い方はシンプルで、
・RSIが高い位置にある銘柄は原則避け、低い位置にある銘柄に投資する
・RSIが30を下回っているようなら指値をせず成り行きで買う
・強い上昇トレンドがある銘柄でRSIが70を超えている場合、下落する可能性が高いので、少し下がった位置で指し値注文しておく
のように活用しています。
ということで、今回は前後編に分かれて4つのテクニカル指標を紹介しました。もちろん別々に見ているのではなく、いくつかの指標を並べてみています。
こちらはアップルの直近1年ほどのチャートに・ボリンジャーバンド・MACD・RSIを表示したもの。
※tradingview
それぞれ長期目線で買いポイントは、
・ボリンジャーバンドの下限付近にあって・MACDの青線が少し上向きになり、広がっていたオレンジとの差が縮まり・RSIが30近くまで下落している
そんなタイミングだといえます。
それを示したのが画像の青枠部分。
3つのテクニカル指標を見ていたら、昨年5月後半と12月末〜年初ごろ、今振り返れば最高の投資タイミングで、アップル株に投資すると判断できていた可能性があるわけです。
※tradingview
こちらはS&P500で同じように3つのテクニカル指標を見た場合です。3つのテクニカル指標がそれぞれ買いと示したのは、昨年10月ごろ、現時点で下落相場の底値です。
6月にもRSIが30に近づき、ボリンジャーバンドの下の方にある時がありますが、この時はMACDがかなり高い位置にありました。このように複数見ることで、投資タイミングを測ることができるんです。
とはいえ、実際にはこの3つが全部一致するタイミングを探していたら、投資タイミングを逃してしまうケースがほとんど。
僕自身、その辺は臨機応変に判断しています ^^)
例えば、移動平均線でサポートされているラインで、RSIが30程度まで下がっていたら、ボリンジャーバンドの真ん中らへんでも買っちゃいます。
「上昇トレンドが続いて買いたい銘柄がないなー」という時は適当に数銘柄選んで、とりあえずボリンジャーバンドの下らへんで指し値注文しておきます。
2回のメルマガで紹介したテクニカル指標の使い方は、僕が長期投資で「うまくいけばちょっとお得に買えるかもな」という水準を探すもの。
投資したい銘柄は十数銘柄あるけれど、毎月の投資資金では2,3銘柄しか買い増せない…優先順位を決める基準が欲しい…
そんな思いで勉強して、個人的に使っているものなので、本来の使い方とは違うかもしれませんし、もっといい使い方があるかもしれません。その点はご了承ください ^^;
また、こうしたテクニカル指標は、ファンダメンタルや市場要因で簡単に裏切られます。
テクニカル指標が買いタイミングを示しても、業績発表が予想以上に最悪だったり、予想外の金融政策が出たりすると、ボリンジャーバンドの下辺を突き破って、RSIは30以下で停滞し、MACDは大きく開きっぱなし…なんてこともあります。
個人的にはやはり、売買判断そのものというよりは、すでに買うと決めている銘柄の優先順位、指値ライン決めに使うのがちょうどいいと思います。
僕たちは日々、メルマガや動画、ニュースレターなどで色々な情報発信をしています。
「そんなに紹介されても全部は投資できない…」と悩んでいる方も少なくないでしょう。
僕自身がそうです。投資資金の30倍くらい、買いたい銘柄があります ^^;
いろいろある投資チャンス、魅力的な銘柄の中で、自分の資金の範囲内でどれに投資しようか?
そんな時に、ぜひこれらのテクニカル指標も使ってみてください。
来週からはまた「最高ランク銘柄」から僕が気になった銘柄をピックアップして紹介したいと思います ^^)
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