FOMC後も続く暗号資産の低迷
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- 2021年12月24日
- トピックス
- ビットコイン(BTC, 格付け「A-」 )は、現在のところ5万1000ドル付近で推移している。
- イーサリアム(ETH、格付け「A」)は、4000ドル付近だ。
- ビットコインの暗号資産(仮想通貨)市場支配率は直近41%を維持しており、12月の初めから40%~42%の狭い範囲で取引されている。
ビットコインは、11月10日に6万9000ドル付近で史上最高値を記録して以来、大きく下落している。最近の値動きは、パラボリックラン(放物線を描く上昇)の後にブローオフトップ(取引量が急増し、価格が上昇した後に急落する現象)がなかったことを考えると、歴史的な強気相場とは矛盾している。
他のリスク資産と同様、ビットコインの下降は、先日の連邦公開市場委員会(FOMC)で再確認された米連邦準備制度理事会(FRB)による資金供給の縮小計画への予想に大きく影響されている。
ビットコインは、FRBの介入がヘッドラインを占め、特に高成長のハイテク部門では、伝統的な金融市場との相関性が高まっている。
高値も安値も一貫して低く、ゆっくりとした持続的な下落は、1年を通して経験してきた強気相場が一時停止していることを示している。ビットコインは、11月16日に21日移動平均線を下回って以来、21日移動平均線に触れておらず、上回るには5万1000ドルを越えなければならない。
ビットコインの弱さを考えると、上昇した場合に市場全体をリードできるかどうかは、イーサリアムにかかっていると言えるだろう。イーサリアムのチャートの方が強く、ビットコインのような暴落を見せていない。
一般的に、イーサリアムはビットコインに比べて上下の振れ幅が大きいため、下降トレンド時にBTCが大型アルトコインを下回るのは珍しい。
イーサリアムが4000ドルの水準を奪還することができれば、史上最高値を更新するまで上昇する可能性がないとは言えない。
イーサリアムは21日移動平均線の下で取引されているが、ビットコインとは異なり、11月16日に最初に下回ってから4回もこの水準を超え、一進一退を繰り返している。
インデックス一覧
では、12月16日までの1週間の値動きを確認して行こう。
この週は、暗号資産(仮想通貨)市場は再び下落傾向にあり、勢いを取り戻すのに苦戦しており、ほとんどのコインがマイナスとなった。
ワイス・50・クリプト・インデックス (W50)は前週のパフォーマンスと変わらず、13.54%下落した。
ビットコインが広範な市場をわずかに上回ったため、ワイス・50・Ex-BTC・インデックス (W50X)は16.65%下落した。
パフォーマンスを時価総額別に見てみると、「大規模コイン」が最も下落を抑えられていたことが分かる。市場に売り圧力がかかると、通常はこのような状況となる。
ワイス・ラージキャップ・クリプト・インデックス (WLC)は12.66%下落し、中小規模コインを上回った。
ワイス・ミッドキャップ・クリプト・インデックス(WMC)は15.88%下落し、中規模コインは再び2番手となった。
小規模コインが最も苦戦し、ワイス・スモールキャップ・クリプト・インデックス (WSC)は19.11%の下落となった。
急落時には、最も実績のある暗号通貨が投機的なアルトコインを上回るのが一般的で、ビットコインはステーブルコインを除けば、一般的に暗号通貨の安全な避難場所とみなされている。
イーサリアムや他の大規模コインとの乖離が続くかどうかが注目される。
今後の推測
暗号市場は数週間前から低迷しているが、圧倒的な値動きで急落するという強気市場の通例には沿っていない。
これらは未知の領域であり、これからの数週間がどうなるかの断言は難しい。数年来の強気相場の最後の数週間に予想されるような、標準的なブローオフ・トップにはならない可能性がある。また、この時点では、サイクルが延長されているだけの可能性もある。
いずれにしても、爆発的な価格上昇がなければ、過去に見られた弱気な暗号通貨の冬のような下落局面に暗号資産が直面する可能性は低い。
なぜなら、パラボリックに上昇したものがそのまま下落しているからだ。
11月に中央銀行が最初のテーパリングを発表して以来、価格やセンチメントが悪化しているため、米連邦準備制度理事会(FRB)の行動は、短期的には暗号通貨やその他のリスク資産に影響を与えるだろう。
FRBによる短・中期的な暗号通貨への影響を与えるにもかかわらず、長期的な見通しは崩れないだろう。普及が進み、革新的な技術を導入する機関が増えていることから、この分野の将来性はこれまで以上に明るいと言える。
健闘を祈る。
サム
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