インフレ抑制法がビッグテックに与える影響
- 1139 Views
- 2022年8月18日
- トピックス
気候変動対策と医療に関する新法案を発表した民主党は、満面の笑みを浮かべていた。米上院が可決したこの新法案は、ハイテク株投資家にも笑顔をもたらすだろう。
両陣営の政治家は、大手ハイテク企業が自社のサービスを優先することを禁じた新法案について推進してきたが、この法案は秋まで投票に付されなくなった。
これは特に、アルファベット(GOOGL)の株主にとっては朗報である。
「American Innovation and Choice Online Act(アメリカのイノベーションと選択のためのオンライン法)」は、ビッグ・テックを解体する恐れがあった。超党派の法案は、アップル(AAPL)、アマゾン・ドット・コム(AMZN)、アルファベット、メタ・プラットフォームズ(META)を狙い撃ちにした。もし可決されていたら、これらの企業がデジタル・エコシステムを活用することはもっと難しくなっていた可能性が高い。
アップルはApple MusicとApple TV+をバンドルすることを禁じられ、アマゾンはオンラインストアでプライベートブランド製品を宣伝することを禁じられることになっただろう。
大手ハイテク企業は、この法案では自社製品の安全性が損なわれ、顧客にとって不便になると主張し非難した。
それでも、政治家たちは猛烈に押し進めた。エイミー・クロブシャー 氏(民主党-ミネソタ州)とチャールズ・グラスリー氏 (共和党-アイオワ州))をはじめ、ディック・ダービン氏 (民主党-イリノイ州)からジョシュ・ホーリー 氏(共和党-ミズーリ州)を含む誰もがこの法案を支持した。
ビッグ・テックが労働者の権利を踏みにじり、保守派の声を押し殺しているという長い演説がよく行われるようになり、法案はビッグ・テックに不利になるように通過する予定だった。
そして、インフレ抑制法が施行された。
この約7400億ドルの歳入増を見込む法案は、大企業への課税を強化する一方で、気候変動への対応や処方箋費用の引き下げを実現するものとなる。
10億ドルを超える利益を得ている企業は、最低でも15%の税金を取られることになり、 国税庁が高所得者を追及するために800億ドルの追加資金が提供される。
医療保険改革法の補助金は延長され、980億ドルの費用がかかる。メディケア (65 歳以上の老人を対象とした老人医療保障制度)は今後、処方薬の価格をめぐって製薬会社と交渉することができるようになる。また、電気自動車購入者への7500ドルの税額控除を含め、クリーンエネルギーに3700億ドルを割り当てている。
この法案が米国経済にどのように影響するかの見積もりは以下のとおり:
国税庁は共和党の票を一票も集めなかった。さらに重要なことは、この法案の成立により、「American Innovation and Choice Online Act」が、現在の形式では成立しそうにない秋まで延期されることだ。Axiosの分析によると、共和党は中間選挙に向けて民主党に新たな政治的勝利を与えることはないだろう。
しかし、これは「American Innovation and Choice Online Act」から最も多くを失ったアルファベットにとって朗報である。
それは、同社のすべての事業が相互に関連していることが理由であり、同社が解体の可能性に備えて、2015年に最高財務責任者に加えたルース・ポラット氏は、すぐに事業の一部を別会社に再編成した。
CEO、独立した取締役会、資金調達のための施設を手に入れたのだ。Google、YouTube、Google Cloud、DeepMindなどの賭けは、それに呼応して花開いた。
2022年のアルファベット株は、少し低迷している。 デジタル広告は世界経済の浮き沈みに弱いというのが弱気筋の意見で、これは本当だ。デジタル広告費は、広告費全体の67%を占めるようになり、2019年の53.4%から上昇した。全体的な支出が鈍化すれば、デジタル広告も影響を受けることになる。
弱気筋は、今後すべての広告にデジタル広告が関わってくるという点を見落としている。
アルファベットは、デジタル広告の分野で圧倒的な強さを誇り、最高の特性、最強のテクノロジー、そして一方的に規格を設定する能力を備えている。さらに、将来的に解体した場合に備えて、組織再編成も行っている。
同社の株価は、トレーダーたちが200日移動平均線と格闘しているため、130ドルで抵抗している。
中間選挙を控え、新たな税制と歳出に関する法案を可決しようと急ぐあまり、民主党はおそらくビッグ・テックを救ってしまったのだろう。長期投資家はその恩恵にあずかり、下落の際にはアルファベット株の購入を検討する必要がある。
健闘を祈る
ジョン・D・マークマン
※ 広く一般の投資家に情報としてお届けする事を目的とした記事であり、Weiss Ratings Japanが運営する投資サービスの推奨銘柄ではありません。予めご了承下さい。