アップル株が成長し続けているワケとは?
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- 2020年9月6日
- トピックス
会社を経営している多くの人は、株式市場のラリー(株価が上下を繰り返しながら徐々に上昇していくこと)が継続的に続くことに懐疑的になっているだろう。ここでいう経営者とは、世界最大の会社を経営している人たちのことだ。
なぜなら、今期の第2四半期には、S&P500を構成する500社もの企業が自社株買いの割合を50%も削減しているからだ。全体的に見ると、買い戻し額は8年間で一番少なくなっている。
去年までは、企業による買い戻しが株式市場最長のブル相場の大きな要因になっていたことを考慮すると、この事実はとても重要な意味を持ってくる。
コロナショックに直面したことで、企業は資本を温存しており、その結果として収益と利益は大きく落ち込んでしまっている。実際、S&P500内の90%の企業がすでに第2四半期の業績を報告しているが、それらの企業の利益は前年比53%の縮小となってしまっている。
買い戻しを行っている筆頭企業の代表例としては、アップル(Nasdaq:AAPL、レート「B」)がある。同社の株は先週、時価総額2兆ドルを突破した。
アップルの保有株主の皆さんはおめでとう。今年は大きな利益を出せたはずだ。
しかし、過去5年間でアップルの収益はわずか17%の伸びにとどまり、純利益の合計はわずか3.5%の増加にとどまっている。
それでは、3.5%の利益率で、どうやって1株あたりの利益が29%も上がったのだろうか?答えは簡単だ。アップルは株の買い戻しを行っているのだ。
2015年から2019年度までに、アップルは2370億ドルを投じて2億4900万株を買い戻し、発行済みの株式数を20%削減している。
つまり、アップルの1株当たり成長率は、自社株買いが牽引してきたということになる。アップルは過去5年間で2628億ドルの利益を上げており、そのほとんど(2370億ドル)をの株式買い戻しに費やしている。
一方で、同社の過去5年間の研究開発費用はたったの600億ドルであった。iPhoneやiPadのような画期的な発明がなく、利益が上がらなかったのも頷けるだろう。
自社のプラグシップ製品の売り上げが5年間で横ばい、もしくはマイナスに落ち込んでいるのは、問題である。上の表を見て分かるように、Macパソコンの収益は5年前に比べに増えているが、iPhoneやiPadの売上は減少しているのだ。
明日、すぐにアップル株を売れとは言わないが、自分の利益を守るための安全戦略は持つべきだろう。
上手く事業を成長させることができず、会計上のトリックを使って実際よりも経営が順調そうに見せかけている企業は、市場が転換期を迎えた時に大きな打撃を受けると私は予測している。
そしてアップルは、どの会社よりもそのトリックを使っているのだ。
健闘を祈る。
トニー・サガミ