「パウエル議長の方向転換」の評価は?
- 884 Views
- 2021年7月1日
- トピックス
パウエル議長はどこに向かおうとしているのだろうか。
米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が先月の米連邦公開市場委員会(FOMC)後の発言で市場を混乱させた後、市場はそう問いかけていた。
しかし、この「パウエル議長の方向転換」があなたにとってどのような意味を持つかということの方が重要だ。
まだ答えるには時期尚早かもしれないが、私は現在それほど大きな影響はないと見ている。
パウエル議長はこの2年間、低金利を維持し、大量の資金を供給すると公言してきた。また、少なくとも2023年までか、それ以降もFRBはこの方針を続けるだろうという考えをずっと強調してきた。
しかし、先月のFOMCの後、パウエル議長は別の方針を取った。 と言っても、彼らはまだ利上げはしていないし、現在実施している月1200億ドルの債券購入ペースを縮小したわけでもない。
ただ、成長率やインフレ率、金利の将来的な見通しについて、久しぶりに積極的な見方を発表した。
また、パウエル議長はFOMC後の記者会見で、経済や雇用についてかなり楽観的に話し、FRBが現在、量的緩和(QE)の縮小について「話し合っている」と述べた。
もちろん、これは「厳しい」話ではないが、市場の注目を集めた。そして実際、市場の反応は早かった。
貴金属は急落し、ドルが急騰した。短期金利は急上昇し、長期金利はほとんど動きを見せず、イールドカーブは平行線を描いた。そして、株式市場の主導権が急激に移り変わり、公共事業セクターが上昇、素材関連株が下落した。
しかし、6月21日月曜の朝に市場はパニック状態から落ち着きを取り戻した。株式が上昇し、金属は跳ね上がり、ボラティリティーは低下した。
そのきっかけは、ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁が、FRBがすぐに金融緩和策を撤回するという考えに反論したからだ。
彼はオンラインの公開の場で、「確かにいくつかの進歩はあったが、私の解釈では、さらに大きな進歩を遂げるにはかなりの道のりがある」と述べた。
ほどなくして、パウエル議長自身もこの騒動を鎮めるため、議会証言で楽観的で堅実なコメントを発表した。
私はこれまで四半世紀にわたって、金利市場とFRBの政策決定プロセスを注視してきた。その間大きな変化をたくさん見てきた。そして過去には、その結論としてポートフォリオを抜本的に調整することを勧めたこともあった。
でも今回のケースは方向転換と言えるほどのものだろうか?
私はそうは思わない。
FRBは、全体的な方向転換を意図しているのではなく、言葉じりを下手にいじったに過ぎない。
つまり、これまでにも私が提唱してきた「セーフマネー」の投資戦略に集中しよう。FRBの関係で数日間騒ぎになったが、自分の道を見失わないでいただきたい。
どちらかというと、FRB後の金利市場の反応を見ると、高い格付けを得ている収益性の高い銘柄を狙うことの重要性が増している。長期の利回りが失速、低下すると、これらの銘柄はいっそう魅力的に見えてくる。
そして、戦略を大きく変えるべき時には、追ってお知らせするのでご心配なく。
それではまた
マイク・ラーソン
※ 広く一般の投資家に情報としてお届けする事を目的とした記事であり、Weiss Ratings Japanが運営する投資サービスの推奨銘柄ではありません。予めご了承下さい。