急速に増加する企業を狙ったハッキングから利益を得る方法
- 1365 Views
- 2023年1月26日
- トピックス
こんにちは。Weiss Ratings Japanです。
大手企業のPayPalがサイバー攻撃の被害に遭い3万5000人の個人情報が流出しました。
こうしたサイバー攻撃はPayPalなどのいち企業に限った話ではなく、病院などもターゲットとされていたり、さらには米中対立やウクライナ紛争を背景に国家間のサイバー攻撃も活発化しており、サイバーセキュリティの重要性が一段と高まってきているのです。
しかし、賢明な投資家はこうした情勢をチャンスだと捉えています。今回はWeiss Ratingsシニアアナリスト、ジョン・マークマン氏による「急増するハッキング被害から利益を得る方法」の分析をお届けします。
アナログからデジタルへの移行により、すべての企業はテクノロジーの導入を余儀なくされている。テクノロジーは大きな利便性をもたらす一方で、セキュリティ侵害の脅威も大きくなる。
だが、残念なことに、多くの企業がデータの保護に失敗している。しかし賢明な投資家にとってチャンスを生み出した。
TモバイルUS(TMUS)の経営陣は、先日提出した財務報告書の中で、顧客アカウントがハッキングされたことを認めた。同社のセキュリティ侵害は、2018年以降で8件目となる。
投資家はサイバーセキュリティ関連株、特にクラウドストライク(CRWD)の買いを検討すべきだろう。
顧客データの保護に失敗していることを除いて、Tモバイルは素晴らしいビジネスだ。ワシントン州ベルビューに本社を置く同社は、1億1000万人の顧客を抱え、米国の無線通信事業者の中で総合満足度ランキングで常に上位にランクインしている。明らかに、この伝統的な電話事業が問題なのではない。
多くの企業と同様、Tモバイルもデジタル・トランスフォーメーションに苦戦している。
スマートフォンやクラウドベースのソフトウェアによって、各企業は重要なインフラをデジタル化せざるを得ない。生産性やビジネスチャンスが拡大する一方で、課題も増えている。
多くの企業は、ハッキングやサイバー脅迫に対する備えを全く行っていなかった。
証券取引委員会への提出書類によると、2021年3月にTモバイルのインフラが侵害され、7500万人の顧客アカウントが流出したという。
ハッカーは、第三者の電子メールベンダーに侵入してTモバイルのサーバーにアクセスし、社会保障番号やその他の政府関連の識別データを含む顧客の個人情報を盗んだ。
関連記事:
英国を拠点とするハッキンググループ「Lapsus$」は昨年、Tモバイルの内部ツールにアクセスし、デジタルSIMスワップを通じて、顧客の電話番号を掌握しようと試みた。もし成功していれば、Lapsus$は電子メールアカウントや暗号資産(仮想通貨)ウォレットの認証情報をリセットすることができた可能性がある。
悲しいことに、このような攻撃の割合は増加の一途をたどっている。
世界的保険会社であるチューリッヒ・インシュアランス・グループの広報担当者は12月、フィナンシャル・タイムズ紙に対し、サイバー攻撃は非常に一般的になっており、近い将来に保険対象外となるだろうと語った。
先週、チューリッヒの経営陣は、同社のネットワークが侵入されたことを明らかにした。ハッカーは、第三者の請負業者に侵入し、75万7,463人の現在および過去の顧客アカウントにアクセスした。
こうしたサイバー攻撃に対し、クラウドストライクはハッカーの侵入を防ぐことができるユニークな存在だ。。
カリフォルニア州サニーベールに拠点を置くこの急成長中の企業は、顧客のネットワークに接続されたすべてのデバイスに対する脅威データを同時に収集するクラウドベースのプラットフォームを運営している。
AIで情報を解析し、すべてのエンドポイントをシームレスに更新する。ハッカーはエンドポイントから侵入するため、これらのエンドポイントを保護することは、ネットワーク全体の安全性にとって非常に重要だ。
Forrester Researchは、クラウドストライクをエンドポイント検出および対応における明白なリーダーとして位置づけている。
クラウドストライクの株価は2022年11月に297ドルの高値で取引されたが、その後は下降線をたどっている。多くの成長株と同様、投資家はクラウドストライクの高い株価収益率を見て、経済が後退し企業資金が減少するにつれ成長が鈍化すると考えている。
関連記事:
各企業は、サイバーセキュリティに、より多くの投資をせざるを得ない。彼らの新しいデジタルビジネスに対する脅威は実存的なものだ。
株価は103.41ドルで、株価収益率(PER)は51.9倍、株価売上高倍率(PSR)は11.5倍。この倍率は一見高く見えるが、売上総利益率は73.5%で、売上は堅調に推移している。
クラウドストライクは11月に、第3四半期の売上高が前年同期比52.8%増の5億8100万ドルになったと発表した。年間経常収益は、前年度比54%増の23億4,000万ドルとなった。このうち、1億9,810万ドルは第3四半期に追加された。
投資家がクラウドストライクの事業性を過小評価するのは、潜在的な市場規模が見えていないからだ。2022年から2030年までの予測期間に、
予測される年平均成長率はサイバーセキュリティ市場で10.1%
バイオ医薬品市場で7.9%、半導体市場で6.5%
比較するとサイバーセキュリティ市場規模がわかるだろう
Tモバイルをはじめとする企業顧客は、その基礎となるビジネスには長けているが、デジタル・ネットワークのセキュリティを使いこなすには、明らかに十分な費用をかけていない。企業に対する脅威が大きくなればなるほど、予算は増加し、クラウドストライクのような企業が利益を得ることになる。
健闘を祈る。
ジョン・D・マークマン
PS
半導体市場やバイオ医薬品市場より伸びている、サイバーセキュリティ市場は将来性が期待できますね。
その中でもすでに実績があって、実際に成長できる企業なら投資するのも良いのではないかと思います。
しかし、さらに成長が予測されている業界もあります。それがSaaS業界です。SaaSとはマイクロソフトのOfficeなどのソフトウェアを継続的にアップデートしたりフォローしてサービスとして提供するもの。この業界はサイバーセキュリティ市場よりも高い年平均成長率18.82%で成長すると予測されています。そんなSaaS業界の中で、Weiss Ratingsのスタッフが実際に投資し今あなたにもお勧めしたい銘柄があります。
↓
Weiss Ratingsのスタッフが実際に投資している銘柄
※ 広く一般の投資家に情報としてお届けする事を目的とした記事であり、Weiss Ratings Japanが運営する投資サービスの推奨銘柄ではありません。予めご了承下さい。