「Year of Efficiency」←この言葉に注目
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- 2023年4月14日
- トピックス
こんにちは。Weiss Ratings Japanの安居です。
前回のメルマガでは、56回連続で事前予想を上回る好決算を続けているユナイテッド・ヘルスを取り上げました。
株価チャートを見ても、売上利益、キャッシュフローなどを見ても、
調べれば調べるほど、投資しない理由が見つからない…そんな銘柄です ^^)
前回のメルマガはこちらからご覧ください。
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【偉業記録更新中】56回連続で好決算の銘柄
さて直近の相場ですが、トレンドに大きな変化はなく、チャートパターン通り350日移動平均線で跳ね返されたところで止まっています。
昨年8月、S&P500は6月の底値から約18%も上昇。当時はこんなニュースが飛び交っていました。
底値から半値戻ってきたら、2番底を試すことはほとんどないという経験則から「半値戻しは全戻し」という格言があります。半値戻しを達成し「2022年年初からの下落もこれで終わりか?」という雰囲気が出てきたのは8月13日
しかしそのわずか2日後の8月15日、350日移動平均線と200日移動平均線が交差する「デッドクロス」が発生し一転。10月に向けて大きく下落、2番底の展開になりました。当時のことはメルマガで何度か書いていたので、ぜひ振り返ってみてください。
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今週の下落で買った銘柄
今年に入ってからも「利上げサイクル終了か?」という期待でぐんぐん上昇。
しかし2月2日、またも350日移動平均線まで上昇したタイミングで、「雇用統計が好調すぎる→利上げはまだ続く」という思惑から下落しました。
そして今、強気のニュースを何度も吹き飛ばして下落させてきた350日移動平均線にタッチしています。そんな怖いタイミングで、今週は重要な経済指標が目白押し ^^;
4月12日、13日はFRBの金融政策に大きな影響を与えるCPI、PPIなどのインフレ指標が、14日には経済の強さを示す小売売上高が発表されます。
今週発表される様々な経済指標を受け、念願の350日移動平均線突破なるか…
それとも跳ね返されたまま、昨年8月や今年2月のような下落になるのか…
ちなみに4月14日には、渦中の金融株の決算が発表されます。
3月中旬に大騒ぎしていたシリコンバレー銀行の破綻など、金融不安に対するメッセージも出てくるでしょうから、これらに投資していない人も注目しておいた方がいいとおもいます。
・何度も跳ね返されてきた350日移動平均線でまた跳ね返されて…
・FRBの金融政策に大きく影響するインフレ率などの指標が発表され…
・金融不安が広がる中、大手銀行株の決算が集中している…
長期投資家は株価がどう動いても、どんなニュースが出てきてもどっしり構え、冷静に判断。短期〜中期投資家はこうした重要ニュースをしっかり頭に入れておいて、その都度柔軟に判断。
ご自身の投資スタンスに合わせ、一貫性を持って投資していきましょう!
僕は長期投資家なのでどっしり構え、いい高配当株が安くなったらどんどん仕込んでいこうと考えています ^^)
さて今日の本題ですが、、、、
「Year of Efficiency」という言葉、最近大きく取り上げられていたのですが、ご存知でしょうか?
2023年2月1日、メタ(旧facebook)が決算を発表しました。決算の数字そのものはそこまでいいものではありません。売上はなんとか予想を超えたものの、利益は予想を20%以上も下回り、昨年同期比で見ても半減しています。
通期の売上と利益はご覧の通り、ここまで素晴らしい二桁成長を継続していたところから一転、作対比でマイナス成長になっています。
フリーキャッシュフローも作対比で半減しているので、決していい状況ではありません。
ですがこの微妙な決算を受けて、株価は1日で20%以上も急上昇。
その後も上昇を継続し、昨年の安値からだとすでに株価は2.4倍に成長しています。
凄まじい上昇ですよね ^^;
先ほどもお伝えしたように決算は決していいものではありませんでしたし、CEOのマーク・ザッカーバーグ氏は決算のコメントで「I also don’t think it’s going to go back to the way it was before.(以前のような成長が戻るとは思わない)」とまでコメントしています。
にもかかわらず急上昇した理由…
その理由の一つが「Year of Efficiency(効率化の年)」という言葉にあると考えています。
ザッカーバーグ氏は「Year of Efficiency(効率化の年)」であることを強調し、レイオフ(一時解雇)やデータセンター構築など支出の削減、メタバースのような時代を先取りしすぎたテクノロジー追求の抑制などを語りました。
これまでMetaのテーマはガンガン投資してどんどん売上を伸ばす「成長」でした。しかしそのスタイルに限界が見えてきたため、「成長」ではなく「効率」つまりは「収益」にテーマを変えたんです。
これを好感して、Metaの株価は短期間で急上昇しました。
「効率化の年」というのは、ザッカーバーグ氏が決算で発言しただけではありません。
3月14日にMetaは公式プレスリリース「効率化の年へのアップデート」を公開。そこではより具体的に、優先度の低いプロジェクトを中止し、中間管理職を排除して組織のフラット化を進め、採用を抑制し、既存チームのレイオフもさらに進めることなどを発表しました。
For most of our history, we saw rapid revenue growth year after year and had the resources to invest in many new products. But last year was a humbling wake-up call. The world economy changed, competitive pressures grew, and our growth slowed considerably. We scaled back budgets, shrunk our real estate footprint, and made the difficult decision to lay off 13% of our workforce.
At this point, I think we should prepare ourselves for the possibility that this new economic reality will continue for many years. Higher interest rates lead to the economy running leaner, more geopolitical instability leads to more volatility, and increased regulation leads to slower growth and increased costs of innovation. Given this outlook, we’ll need to operate more efficiently than our previous headcount reduction to ensure success.
引用:プレスリリースより
私たちはこれまでリソースの大半を、毎年急速な収益成長を遂げ、多くの新製品を開発するために使ってきました。しかし、昨年は世界経済が変化し、競争圧力が高まり、私たちの成長は著しく鈍化しました。私たちは予算を縮小し、従業員の13%をレイオフするという難しい決断をしました。
私たちはこの新しい経済的現実が、さらに何年も続く可能性に備える必要があります。金利の上昇は経済を縮小させ、地政学的な不安定さはボラティリティの上昇につながり、規制の強化は成長の鈍化とイノベーションのコスト増につながります。このような見通しを踏まえ、成功を収めるためには、より一層の効率化が必要になります。
日本語意訳
業績は決して良くない、将来の成長も微妙…それでも「Year of Efficiency」今年は徹底して効率化を進めるぞ!と宣言することで、株価が急上昇しているんです。
そして、効率化が重要なのはMetaに限った話ではありません。
金利が上がる/高止まりするということは、借金の返済負担が大きくなり、新しい融資も受けにくくなる当ことです。
またアメリカをはじめとする先進国では、景気後退または減速はすでに当然視されていて、どの程度の景気後退なのか?いつまで減速するのか?が焦点になっています。
そうした経済状況では、Efficiencyが悪い、効率化できていない企業ほど、急激に状況が悪化するでしょう。本業では黒字なのに、借金返済負担が大きく、新しい借金もできないため倒産…なんて事例も出てくるかもしれません。
ザッカーバーグ氏が言った「Year of Efficiency」は、Metaをはじめとするハイテク企業、これまで収益より成長性で評価されてきた企業のほとんど全てに言えることですし、それ以外の企業にとっても重要です。
ザッカーバーグ氏のメッセージ、そしてMetaの株価から言えることは、、、
投資家はEfficiencyに注目し
高い効率性を持つ企業に投資しよう!
ということです。
このメルマガを読んでいるあなたは「Efficiencyってどうやって調べればいいの?」なんて言わないですよね ^^;
EfficiencyはWeiss Ratingsが格付けを行う際の6要素の一つ。「最高ランク米国株25銘柄」に載っています。Metaは最近ようやくEfficiencyを重視し始めたようですが、Weiss Ratingsは約20年前の初期の格付けシステムの頃からEfficiencyを評価項目の一つにしています。
ちなみに現在、「最高ランク米国株25銘柄」に選ばれた25銘柄のEfficiencyは、全て最高評価です。過去には「Efficiency」が最高評価でなくても、成長性など他の要素が高いことで最高ランク認定された銘柄もありますが、現在は効率性が悪い企業は一切ランクインしていないということです。
このことからも、今の株式市場で安全に資産を守り、リターンを伸ばす上で「Efficiency」が重要であることがわかりますね。
「最高ランク米国株25銘柄」の5月号が公開されているので、ぜひ最新のランキングをチェックしてみてください ^^)ザッカーバーグ氏が「Year of Efficiency」と言った2023年仕込むにふさわしい、最高のEfficiency評価を持った25銘柄です。
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https://jp.surveymonkey.com/r/LPCBWNK
この銘柄について紹介してほしい!というコメントもお待ちしております。
※ 広く一般の投資家に情報としてお届けする事を目的とした記事であり、Weiss Ratings Japanが運営する投資サービスの推奨銘柄ではありません。予めご了承下さい。
プロフィール:安居優弥
投資経験は2018年に開始した「つみたてNISA」でS&P500の積み立てを始めたところから。投資については「やっておいた方がいいんだろうなー」程度でしたが、2020年9月にインベストメントカレッジへ転職してからWeiss Ratingsを知り、個別株の分析や、インデックス投資では実現できないポートフォリオ戦略にも興味を持つように。
本格的に投資をするにあたり、最初のハードルは妻でした(笑)。「投資はギャンブル」と考えるタイプでしたから…でも一緒に動画講座を見たり、配当金が入るたび一緒に喜んだりしているうちに、今では僕以上の長期投資家マインドを身につけてくれました。僕がチャートを見て「もう少し落ちそうだから少し待とう…」というと「長期投資にチャートは関係ないから早く買えや」と最高のアドバイスを与えてくれていますw
好きな投資の格言は「投資で一番大切な20の教え」を書いたハワード・マークス氏の
”すぐれた投資家はリターンを生み出す能力と少なくとも同じくらい
リスクをコントロールする能力を持っているという点で卓越している”
この言葉にあるように、投資はリスクとリターンのバランスがなにより大切。しかし、多くの投資情報はリターンに偏りすぎていると感じています。だからこそ、リスクとリターンの両方から、公正なデータに基づいた格付けを行うWeiss Ratingsの情報を一人でも多くの日本人に届け、ハワード・マークス氏が言う「すぐれた投資家」になるお手伝いをしたいと考えています。
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